採用サイトを公開しても応募が来ない。会社紹介や募集要項は載せているものの、何を直せばよいか分からない。そんなときは、求人票と採用サイトを見比べてください。
求人票を読んで興味を持った人が、採用サイトでその根拠を確かめられるでしょうか。「段取りを学べる」と書いてあっても、誰から、いつ、何を教わるのかが分からなければ、応募を判断する材料が足りません。
求人票でひいた興味を、採用サイトで確信に変える。 そのために、両者の採用ターゲット、伝える強み、仕事内容、募集条件をそろえ、採用サイトで具体的な説明と裏づけを増やします。
本記事では、建設業・製造業の中小企業に向けて、既存の採用ページを見直す方法を紹介します。ここでいう「確信」とは、自分の経験や希望との適合を確かめ、納得して応募を判断できる状態です。
1.求人票と採用サイトで、同じ「選ばれる理由」を伝える
求人票で伝えるのは、「どんな仕事で、どんな人にとって魅力があるか」です。仕事内容や条件を示し、自分に関係する募集だと気づいてもらいます。
採用サイトでは、その仕事や働き方を詳しく確かめられるようにします。求人票で教育に興味を持ってもらったなら教育の実態を、仕事の分担に関心を持ってもらったなら担当範囲と教育体制を示します。
例えば、NC旋盤で部品の脱着と寸法測定を担当し、次は段取りを学びたい人を募集するとします。
| 接点 | 伝える内容の例 |
|---|---|
| 求人票 | 脱着・測定の経験を活かし、段取りを学べる仕事であること |
| 採用サイト | 指導担当、学ぶ手順、教育の時間、担当を広げる条件 |
| 応募案内 | 必要な技能・書類、選考の流れ、応募方法 |
採用サイトに何を載せるかは、「求人票のどこに興味を持った人が、何を確かめたいか」から考えましょう。 沿革や事業紹介も、その人が会社と仕事を理解するための情報として位置づけます。
検索や社員の紹介から直接サイトを訪れる人もいるため、職種や条件はサイト内でも分かるようにします。
2.ターゲット・強み・条件を、求人票と採用サイトでそろえる
興味を持って採用サイトを開いても、求人票と違うことが書かれていたら、応募はためらわれます。
| 照合する項目 | 確認すること | 食い違いの例 |
|---|---|---|
| 採用ターゲット | 想定する経験・技能・希望がそろっているか | 求人票は加工経験者向けだが、サイトには新卒向けの説明しかない |
| 必要技能・担当業務 | 入社時に必要なことと、入社後に学べることが一致しているか | 求人票では段取り未経験可、サイトでは段取り経験必須 |
| 伝える強み | 求人票で興味をひいた点を、サイトでも説明しているか | 書類業務の分担を強調しているが、サイトに説明がない |
| 給与・勤務地・勤務・休日 | 同じ職種・雇用形態の条件がそろっているか | 一方だけ古い給与や勤務時間が残っている |
| 教育・制度の対象 | 誰が、どの条件で利用できるかが分かるか | 一部職種の制度が、全員対象のように見える |
| 選考・募集状況 | 募集職種、必要書類、応募先が一致しているか | 求人票は募集中だが、サイトは募集終了のまま |
職種や雇用形態によって条件が違う場合は、その対象を明記します。会社全体の制度紹介と、今回募集する人に適用される条件が混ざらないようにしてください。
同じ内容を指す言葉もそろえましょう。求人票の「段取りを学べる」が、サイトでは「多能工育成」とだけ書かれていると、求職者が同じ話だと気づかないことがあります。求人票で使った言葉を、採用ページの見出しや案内にも反映します。
必要な労働条件の明示事項は、厚生労働省の公式資料とも照合してください。上の表は、求人票とサイトの整合を点検するためのもので、法定の明示事項をすべて列挙した一覧ではありません。
3.求人票で生まれた疑問に、写真・仕事紹介・社員の経験で答える
内容をそろえたら、次は裏づけを加えます。採用サイトでは、文章、写真、仕事の流れ、社員の経験を組み合わせ、求人票で伝えた働き方を具体的に示せます。
| 求人票でひいた興味 | 求職者が確かめたいこと | 採用サイトで示す裏づけ |
|---|---|---|
| 書類業務を分担している | どの作業を任せられ、自分に何が残るのか | 実際の分担表、1日の流れ、各担当者の説明 |
| 未経験から教える | 最初に何を任され、誰に質問できるのか | 最初の作業の写真、指導担当、教育の順序 |
| 段取りを学べる | いつ、誰から、どこまで学べるのか | 教育の時間・手順、指導担当、担当を広げる条件 |
写真に、仕事と役割が分かる説明を添える
機械の写真を載せるなら、何をつくる設備で、募集する人がどの作業を担当するのかを説明します。教育の写真なら、何を教えている場面で、入社後のどの段階に当たるかを添えます。
製造未経験者に向けては、製品の用途、最初に担当する作業、仕事の手順が分かる素材を選びます。施工管理経験者に向けては、工事の種類、現場の範囲、現場と事務所での分担が分かる情報を用意します。
写真と説明を合わせて、「自分はここで何をするか」まで理解できる内容にしましょう。
社員紹介では、求職者が比較に使う経験を聞く
社員インタビューでは、例えば次の点を尋ねます。
- 入社前は、どんな仕事をしていたか。
- 何に関心を持ち、この会社へ応募したか。
- 入社前に不安だったことは何か。
- 仕事を覚えるとき、誰に何を教わったか。
- 前職と比べて、何が変わったか。
本人が経験した具体的な出来事を、本人に確認して掲載します。誰にでも同じ結果が起きるように表現せず、配属先や担当業務などの背景も添えます。
立ち作業、繁忙期、出張など、応募判断に関わる負担と対応も伝えましょう。求職者が良い面と大変な面を理解したうえで、自分との適合を考えられる内容にします。
4.興味を持った点を、採用ページですぐに確かめられるようにする
裏づけとなる情報があっても、見つけるまでに何ページも探すようでは、読んでもらう機会を逃します。求人票で使った言葉を手がかりに、知りたい情報へ進める構成にしましょう。
例えば「脱着・測定の経験を、次は段取りへ」という求人票なら、採用ページの冒頭にもその募集であることを示します。その近くから、入社後の教育や仕事内容を確認できるようにします。
機械加工経験者向けのページなら、次のように整理できます。
| 掲載する部分 | 伝える内容 |
|---|---|
| 冒頭 | 職種、勤務地、必要技能、「脱着・測定から段取りへ」という募集の特徴 |
| 募集内容への案内 | 給与・勤務条件と応募先を確認できるリンク |
| 仕事内容 | 製品、担当工程、使用設備、仕事の分担 |
| 入社後の進め方 | 最初の作業、指導担当、段取りを学ぶ手順、担当を広げる条件 |
| 社員の経験 | 入社前の不安、教わったこと、現在担当している仕事 |
| 働き方・募集条件 | 給与内訳、勤務、休日、勤務地、作業負担と対応など |
| 選考と応募 | 必要書類、連絡の目安、選考の流れ、応募方法 |
教育への関心が強い対象者なら、教育の説明を早い位置に置くなど、確かめたいことに合わせて順番を調整します。
給与や応募先にも、冒頭や関係する箇所から進めるようにしてください。長い会社紹介を最後まで読まなければ条件が分からない構成は見直しましょう。
募集が複数ある場合は、「施工管理」「現場作業」「製造」「機械加工」など、自分に関係する仕事を選べるようにします。職種ごとに担当業務や条件が違うなら、その区別が分かる見出しやページを設けます。
既存の会社サイト内でも、これらの情報は整理できます。新しい採用専用サイトを作るかどうかは、職種数、情報量、更新のしやすさを踏まえて決めましょう。
5.求人を見つけてから応募を終えるまで、自分で確かめる
納得して応募しようとした人が、手続きで止まらないように整えます。スマートフォンを使い、実際の入口から応募までたどってみてください。
- 求人媒体や会社トップから、該当する募集内容へ進めるか。
- 職種、勤務地、応募条件を見つけられるか。
- 興味を持ったところから、応募先へ進めるか。
- 入力項目や必要書類が分かり、送信まで操作できるか。
- 受付が完了したことと、その後の連絡が分かるか。
- 社内の担当者に応募内容が届き、対応へ移れるか。
自社フォームを試す際は、担当者に試験送信であることを共有し、受付メールの内容まで確認します。
初回応募で必要な情報と、後の選考で確認できる情報も整理しましょう。在職中の人がスマートフォンで応募する場面を考え、書類の準備や入力にどの程度の手間がかかるかを確かめます。
職場見学を案内するなら、受け入れられる対象、当日の流れ、受付担当を決めます。応募や問い合わせの方法は、社内で継続して対応できるものを選んでください。
求人媒体で応募を受け付ける運用なら、採用サイトからの移動先を明示します。求人媒体に外部リンクを載せる場合は、その媒体の掲載ルールを確認しましょう。
当事務所のこだわり|情報に触れた人が、次へ進めるようにする
電子デバイスメーカーの支援では、ECサイトの立ち上げ、販売経路の整備、運用者育成に取り組みました。採用でも、求人票や紹介を入口として、仕事内容の確認から応募まで進める流れを考えます。実際に操作し、途中で投げ出される箇所を確かめます。
6.条件が変わったら、求人票と採用サイトをそろえて更新する
求人票と採用サイトは、公開後も整合を保つ必要があります。給与を変更したのにサイトには以前の金額が残っていたり、募集終了後も応募を受け付けていたりしないよう、更新する仕組みを決めます。
職種ごとの最新の募集情報を一つにまとめ、どこに掲載しているかを一覧にしましょう。あわせて、次の担当を決めます。
- 募集条件を確認・承認する人。
- 仕事内容や教育の実態を確認する人。
- 求人票と採用ページを更新する人。
- 応募を受け取り、連絡する人と、不在時の代わり。
- 募集の終了・再開を判断する人。
条件変更時は、募集要項に加え、見出し、社員紹介、よくある質問にも古い情報が残っていないかを確認します。説明の根拠となる分担や教育体制が変わった場合も、原稿を見直してください。
制作会社へ依頼する場合は、原稿・写真・管理権限・更新手順・計測の設定情報を、どのように引き継ぐかを確認します。社内で使える時間と技能に合わせ、更新作業を分担しましょう。
分担の考え方は、採用担当者がいない中小企業の採用の進め方でも解説しています。
当事務所のこだわり|公開後の運営まで、社内へ引き継ぐ
製造業の採用サイトを構築した支援では、管理権限と運営ノウハウを依頼企業へ引き継ぎました。制作を頼むときは、公開後に誰が募集内容を更新するかも決めておきましょう。原稿や素材、更新手順をそろえ、次の募集でも使える状態を重視します。
この支援経験は、システムブレーンの本人インタビューでも紹介されています。
7.何が興味をひき、何が応募の判断を支えたかを確かめる
改善後は、応募者の反応を確かめます。応募後の会話などで、次のように尋ねてみましょう。
求人のどの点に関心を持たれましたか。応募前に当社のサイトをご覧になっていれば、判断の参考になった情報や、分かりにくかったことを教えてください。
知りたいのは、求人票で生まれた興味が、採用サイトのどの情報によって深まったかです。繰り返し質問される点があれば、応募前に確かめられる情報として補います。
応募経路と、判断に使った情報を分けて記録する
求人媒体で募集を知り、採用サイトを見て、媒体へ戻って応募する人も考えられます。この場合、自社フォームには応募がなくても、採用サイトが判断を支えている可能性があります。
「どこから応募したか」と「応募前に何を見たか」を分けて記録しましょう。聞き取りは可能な範囲で行い、初回応募の必須項目を増やす必要はありません。
数字は、計測できている範囲を確認して使う
確認する数字は、該当職種ページの閲覧、応募先への移動、入力開始、受付が確認できた応募件数などです。
GA4にはフォームの入力開始や送信を計測する機能があります。利用する際は、設定と自社フォームでの動作を確認してください。詳しくはGoogleの拡張計測機能の案内を参照できます。
計測された送信回数と、社内で受け付けた応募人数は区別します。受信記録と照らし、試験送信、重複、営業目的の連絡などを分けましょう。外部求人媒体や電話からの応募、職場見学の申込みも別に記録します。
変更前後を比べる際は、職種、期間、媒体、広告条件をそろえて確認します。少数の応募や短期間の変化から、文章やページ構成だけの効果とは決めつけないようにしてください。
当事務所のこだわり|数字と、応募者の言葉を合わせて見る
IT企業では、企業への聞き取りとデータ分析を通じて、事業の課題を探ってきました。採用でも、求人票の何に関心を持ち、サイトのどの情報で応募を判断したかを確かめます。
最初は、優先する1職種を選び、求人票の訴求を一つ確認します。その根拠を現場から集め、採用ページへ反映し、応募受付まで試してみましょう。変更内容と次の確認日を残せば、改善を続けやすくなります。
閲覧自体が少ない場合は、募集情報への接点も増やす必要があります。面接や内定後に辞退が続く場合は、その段階の説明や条件も見直します。採用全体の点検は、採用のカスタマージャーニーと改善策を参考にしてください。
よくある質問
求人票と採用サイトには、同じ文章を載せればよいですか?
採用ターゲット、仕事内容、条件、伝える強みをそろえ、採用サイトでは具体的な説明と裏づけを増やします。求人票で教育に興味を持ってもらうなら、サイトで指導担当、学ぶ手順、教育の時間を確かめられるようにしましょう。
採用専用サイトを新しく作る必要がありますか?
既存サイト内で、職種、仕事、条件、応募方法を分かりやすく整理できるかを先に確認します。職種数や情報量、更新のしやすさを踏まえて、ページの構成を選びましょう。
アクセスが少なければ、先に広告を増やすべきですか?
応募できる状態と、判断に必要な情報を確認しながら、採用したい人との接点づくりを進めます。求人媒体や会社トップから募集ページへ進めるかも確認してください。サイト全体の完成を待って発信を止める必要はありません。
求人媒体から応募が来ていれば、採用サイトは不要ですか?
採用サイトが応募前の確認に使われているかを確かめましょう。求人媒体を通じた応募であっても、サイトの仕事紹介や社員の経験が判断を支えている可能性があります。自社フォームの応募数と併せて評価します。
写真や社員インタビューが足りない場合は、どうすればよいですか?
最初に答える疑問を一つ選び、それに必要な作業写真と短い説明から整えます。例えば「入社後に何を教わるか」であれば、最初の作業、指導担当、教える順序を確認するところから始められます。
制作を外注するときは、何を確認すればよいですか?
求人票とターゲットを共有したうえで、現場への取材、説明の裏づけ、条件の確認、スマートフォンでの応募、公開後の更新と引き継ぎについて、具体的な提案があるかを確認しましょう。
求人票と採用サイトをつなぎ、応募の判断を支える
砂川大輔事務所では、建設業・製造業の中小企業に向けて、採用ターゲットの整理、求人票・採用サイトの制作改善、現場への取材、情報発信、担当者育成を支援しています。
現在の求人票と採用ページを並べ、何で興味をひき、どの情報で確信を支えるかを整理します。情報の整合から応募までの流れ、公開後の更新まで、社内の体制に合わせて進めます。
支援内容・料金プラン・サービス説明資料をご覧ください。受付再開の通知を希望される方は、再開通知フォームをご利用いただけます。
著者:砂川大輔
砂川大輔事務所 代表。内閣府プロフェッショナル人材活用ガイドブック3度掲載。富士通・アマゾンジャパンの正社員として経営戦略やマーケティングに従事。経験を活かし200社超の中小企業の事業に伴走。建設業・製造業の引き合いが多く、採用計画から制作・情報発信・担当者育成まで支援する。1級土木施工管理技士補、甲種危険物取扱者、甲種火薬類取扱保安責任者、第一種衛生管理者、PRプランナー、内部監査士など、建設・製造業の採用に関する資格を保有。

