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採用コラム

採用担当者の育て方 最初に教えるのは「成果物をつくる技術」

「総務担当者に採用広報を任せたい。でも、経験がない人に何から教えればよいのだろう。」

建設業・製造業の中小企業では、総務や経理の担当者が採用を兼務することがあります。求人票の更新に加え、採用サイトの記事やプレスリリースも任せたい。そのための育成を、どこから始めるかが今回のテーマです。

私は、採用担当者には、成果物をつくって世に出す技術を最優先で伝えることを重視しています。

例えば、求職者の疑問に答える記事をつくり、採用サイトへ投稿する。会社の新しい取り組みをプレスリリースにまとめ、PR TIMESで発信する。文章や写真を整え、公開するところまで、自分の手でできるようにします。

自分でつくれると、腕を磨く場数が増えます。そして、自分の表現が世に出る喜びが、次の企画や取材へ向かう力になる。私は、この順番で担当者を育てることが大切だと考えています。

最初に、自分の手でつくって公開できるようにする

最初の目標は、「一本の記事を、自分の手で公開できること」。

原稿・見出し・写真を整え、管理画面へ入稿し、表示を確認して公開する。自分の考えが形になる、創造の喜びを体験してもらいます。

教材には、実際に会社で使う成果物を選びましょう。

最初につくる成果物身につける技術指導者が用意できるもの
採用サイトの記事文章の構成、見出し、写真の選択・加工、入稿、表示確認、公開読者の疑問、回答に使う事実、取材メモ、記事の見本
PR TIMESのプレスリリースタイトル・要旨・本文の作成、画像の準備、入稿、プレビュー、配信発表するニュース、背景資料、会社情報、原稿の見本
求人票・職種紹介ページ仕事内容と条件の整理、原稿・写真の修正、掲載先への反映確認済みの募集条件、仕事の説明、既存原稿

初回は、指導者がテーマと素材を用意して構いません。「誰に、何を伝えるか」を一緒に定め、その材料を使って担当者本人が手を動かします。

文章の構成を見せたら、次の段落を書いてもらう。写真を一枚整えたら、次の写真を任せる。作業を代わりに済ませる範囲を少しずつ減らし、本人が完成させる経験を積んでもらいます。

採用サイトに、求職者の疑問へ答える記事を投稿する

例えば、AI検索対策を意識した記事を題材にできます。ここでは、求職者がAIへ尋ねそうな疑問を想定し、自社の仕事や職場の事実で答える記事を考えます。

製造業なら、「未経験で入社したら、最初はどんな仕事を担当するのか」というテーマです。実際の担当作業、教える人、仕事を覚える過程を、写真と文章で説明します。

初回は、現場で確認したメモを指導者が用意します。担当者は、それを読み手に伝わる順番へ並べ、見出しを付け、写真を入れ、採用サイトへ投稿します。AIを使う場合も、このメモから下書きをつくり、事実を確かめ、自社の言葉へ直す工程を一緒に経験します。

公開後は、スマートフォンでページを開きます。写真が見やすいか、仕事の説明が伝わるか、募集情報へのリンクが使えるかまで確かめます。ここまでを、一本の制作として教えます。

プレスリリースをつくり、PR TIMESで発信する

実際に新しい取り組みを始める会社なら、プレスリリースも教材になります。職場見学会の開催、新しい育成制度、技術研修の開始など、発表する情報がある場合です。

何を始めるのか、なぜ取り組むのか、誰にどんな変化があるのかをまとめ、タイトル・要旨・本文をつくります。写真や会社情報を整え、入稿し、公開内容の確認を経て配信へ進みます。

PR TIMESは、企業の事業や組織に関する新情報をプレスリリースとして発表するサービスです。仕組みは、PR TIMESの公式説明でも紹介されています。

最初に取り組む媒体は、自社の素材と利用環境に合わせて一つ選べばよいでしょう。指導者と一緒に、実際に使う成果物を完成させることから始めます。

つくれるようになると、場数が増えて腕が磨かれる

制作から公開までを経験すると、次の題材が見つかったときに、自分で着手できます。社員の話を記事にする。求職者から聞かれた質問へ答える。自ら試して改善する機会です。

前回の原稿や画像のひな型も、次の制作に役立ちます。操作に慣れた分、新たな工夫に時間を使えます。

例えば、一本目では「製造スタッフの仕事」という見出しを付けたとします。次は、読む人の疑問を考え、「未経験で入社したら、最初に担当する作業は?」と具体化する。写真も、機械の全景から、担当する作業が分かる場面へ変える。こうした工夫を、実際の制作で経験します。

つくれる技術があるから、試せる。試す機会が増えるから、技術を磨ける。

この場数は、読者へ届ける価値のある内容を完成させ、公開し、振り返る回数です。次の一本で何を改善するかを考えながら、経験を重ねます。

自分の表現が世に出る喜びが、次の一本を生む

自分で考えた見出しが、会社のサイトに載る。選んだ写真と文章が並び、誰でも読めるページになる。取材した社員に、完成した記事を見せられる。

発信には、自分の表現が世に出る喜びがあります。

社内では当たり前になっていた技術や工夫も、言葉と写真を組み合わせることで、初めて会社を知る人へ伝えられます。自分が会社の仕事を理解し、それを形にして届けた。その手応えを、担当者自身が得られることに意味があります。

私は、この喜びが「もう一本つくりたい」「次は別の仕事も紹介したい」という意欲につながると考えています。

初めて公開したときは、指導者も一緒に完成したページを見ましょう。「この写真で作業が分かるようになった」「この見出しなら未経験の人も読み始めやすい」と、本人が工夫した点を具体的に確かめます。

閲覧数や応募数は、採用活動の結果として追っていきます。育成の初期には、自分で完成・公開できたことも確かめ、次に伝えたいことを一緒に考えます。

発信したい気持ちが、企画・取材・情報収集を動かす

「次の記事をつくりたい」と思えば、その材料を探す理由が生まれます。

先輩社員は、新人のどこを見て教えているのか。新しい設備が入ると、担当する仕事はどう変わるのか。工場見学に来た人は、どの説明に関心を持ったのか。日々の仕事の中に、次の発信の題材を見つけるようになります。

制作を経験していると、集める情報も具体化します。文章を書いて説明が足りないと感じた経験があれば、次の取材ではその点を聞けます。写真を選ぶ際に困った経験があれば、次はどんな場面を撮るとよいかを考えられます。

一本の制作から、次の取材へ進む例

製造業の担当者が、初めて記事をつくる場面を例に考えてみます。

一本目は、指導者が用意した教育内容のメモから、「未経験者が入社後に担当する仕事」を記事にします。本人が文章と写真を整え、公開まで進めます。

完成した記事を現場で見てもらうときには、次に何を説明するとよいかも聞けます。そこで「新人が最初につまずきやすい作業」が題材になれば、担当者は指導役の社員へ、教え方や工夫を尋ねることができます。

二本目では、その話をもとに、自分で構成を考え、必要な写真を集めます。完成する記事を一度見ているので、どこを詳しく聞き、何を撮ればよいかも考えやすくなります。

このように、一本を発信した経験を、次の企画と取材へつなげていきます。やがて担当者から、「この取り組みを紹介したい」「この社員に話を聞きたい」という提案が出る状態を目指します。

広報に値する情報を集める力も、発信する経験と結びつけて育てる。 これが、制作技術を先に伝える理由の一つです。

発信を重ねながら、採用につながる表現へ磨く

制作を続ける中では、求職者に何が伝わったかを振り返ります。

例えば「働きやすい職場」と書いたら、誰にとって、何が働きやすいのかを考えます。地元で働きたい施工管理経験者には現場の範囲や出張、未経験の製造スタッフには最初の作業と指導体制が、判断材料になります。

完成した記事を見ながら、次の問いを担当者と共有しましょう。

  • どんな人の、どの疑問や不安に答えたか。
  • 説明を裏づける事実や写真が入っているか。
  • 求人票や採用ページの内容とそろっているか。
  • 興味を持った人が、募集情報や応募方法へ進めるか。
  • 読んだ人の質問から、次に何を補うとよいか。

最初は指導者が用意したテーマも、次第に本人が考えるようにします。「ここに写真を入れる」という操作の経験が、「この疑問に答えるために、この写真を撮る」という判断へつながります。

ターゲットと選ばれる理由の整理は、「AIで質の良い求人票をつくる」で、媒体間の説明をそろえる考え方は、「採用力を高める『整合』の考え方」で詳しく解説しています。

教える側の関わり方も、少しずつ変える

担当者が経験を積むにつれて、支援する範囲を変えていきます。

段階教える側と担当者の関わり方
実演指導者が、素材から原稿・画像・公開までの流れを見せる
併走担当者が手を動かし、一緒に一本を完成・公開する
監修担当者が企画・制作し、指導者が内容や表現を確認する
自走担当者が企画から発信までを進め、必要な確認や相談を行う

記事の投稿を任せられるようになったら、題材の提案や取材も任せてみます。できる仕事と困っている点を確認し、支援する範囲を変えていきます。

経営者は制作・確認の時間を業務として確保し、現場への協力も呼びかけましょう。公開内容の確認先や管理権限を整えておくことも、担当者が発信を続ける支えになります。

つくり続けられる担当者を育てる支援先を選ぶ

外部へ育成を依頼する場合は、実際に何をつくり、どの作業を担当者が経験するかを確認してください。

指導者自身が制作から公開までを実演できること、担当者が手を動かして完成させる機会があることが重要です。次のような質問をすると、支援の進め方を確かめられます。

確認すること支援先へ聞く質問
制作技術記事やプレスリリースの作成・入稿・公開を実演できますか?
本人の経験当社の担当者が作業し、一本を完成させる機会はありますか?
継続への準備原稿・画像・ひな型・操作手順を、次の制作に使える形で残せますか?
企画への発展完成したものを振り返り、次の企画や取材へつなげられますか?

必要な管理権限、素材、ひな型、操作手順、公開内容の確認先も、担当者が使える状態にして引き継ぎます。どの原稿が最新版か、写真はどこにあるか、困ったときに誰へ聞くかが分かれば、次の制作へ進みやすくなります。

私は、金型を製造する企業の採用サイトを構築した際、管理権限と運営ノウハウを企業側へ引き継ぎました。この経験は、システムブレーンのインタビューでも紹介されています。

制作物と、それを更新・発展させる力を社内へ残す。担当者の育成まで考えると、支援先に求める仕事も具体的になります。

採用担当者の育成について、よくある質問

文章を書くのが苦手でも始められますか?

初回は、事実・素材・構成例を用意し、短い記事から取り組めます。AIの下書きやひな型も使いながら、自社の内容に直し、一本を完成させる経験をつくります。

採用や広報の理論は、いつ教えますか?

最初の成果物に必要な読者と目的は、指導者が一緒に定めます。そのうえで、制作と公開後の振り返りを通じて、テーマの選び方や伝える内容の判断を深めていきます。

自主性が育っているか、どう確かめますか?

次の題材を提案する、現場への取材を申し出る、使えそうな情報を持ち寄る、公開後に修正を提案する。こうした行動の変化から確かめます。

まず一本、自分の手でつくって世に出す

採用担当者を育てたいときは、最初に制作・公開する成果物を一つ選びましょう。テーマと素材を用意し、担当者本人が手を動かして完成させます。

自分の言葉や写真で会社の仕事を伝えた喜びを、次の企画や取材へつなげる。その経験を重ねながら、採用広報を自分で続ける力を育てることを、私は大切にしています。

砂川大輔事務所では、代表が採用計画・企画から、求人票・採用サイト・記事などの制作、情報発信、担当者育成まで一貫して対応しています。制作を進めながら、担当者が操作と表現を経験し、次の一本を自分でつくれるよう支援します。

直接応募を増やす経路の整え方は、「人材紹介の費用が負担になったら」でも解説しています。

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著者:砂川大輔
砂川大輔事務所 代表。内閣府プロフェッショナル人材活用ガイドブック3度掲載。富士通・アマゾンジャパンの正社員として経営戦略やマーケティングに従事。経験を活かし200社超の中小企業の事業に伴走。建設業・製造業の引き合いが多く、採用計画から制作・情報発信・担当者育成まで支援する。1級土木施工管理技士補、甲種危険物取扱者、甲種火薬類取扱保安責任者、第一種衛生管理者、PRプランナー、内部監査士など、建設・製造業の採用に関する資格を保有。

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