投稿者: daisuke

  • 採用力は「企業の実態×伝える力」 欲しい人材に選ばれる会社の磨き方

    採用力は「企業の実態×伝える力」 欲しい人材に選ばれる会社の磨き方

    求人票を書き直す。採用サイトを整える。会社の魅力を伝えるために、できることは数多くあります。そのとき、確かめたいのが「入社した人に、実際に何を提供できるか」です。

    私は、採用力を「企業の実態」と「伝える力」の掛け算で考えています。実態を磨く際の基準になるのは、採用したい人が会社を選ぶときに重視する項目です。

    給与を重視する人もいれば、仕事の社会的な意義、生活時間、技能を広げる機会を大切にする人もいます。その人が価値を感じる魅力を高め、伝える。これが、採用の土台です。

    この記事では、建設業・製造業の中小企業に向けて、会社の何を伸ばし、どう伝えるかを解説します。

    採用力は「企業の実態×伝える力」で考える

    企業の実態とは、そこで働く人が経験する仕事や条件と、それを支える事業の状態です。社会性、収益性、労働環境、やりがい、給与などが含まれます。

    伝える力とは、その価値を必要とする相手へ、理解・比較できる形で正確に届ける力です。求人票の文章、採用サイトの写真、社員の説明、面接での受け答えなどが、その役割を担います。

    例えば、未経験者に仕事を教える体制があり、社員が着実に技能を身につけている会社を考えてみましょう。求人に「未経験歓迎」としか書かれていなければ、応募者は誰に何を教わり、どう仕事を覚えるのかを判断できません。実態の良さが、十分に伝わっていない状態です。

    一方、「丁寧に教えます」と強く打ち出しても、現場に指導する人や時間がなければ、入社後の体験は説明から離れてしまいます。

    実態を充実させ、その実態を必要とする人へ届ける。 この二つを合わせて考えるために、私は「掛け算」という言葉を使っています。

    求職者によって、会社を見る物差しは違う

    採用したい人は、自社のどこを評価するでしょうか。まず、企業の実態を次のように整理してみてください。

    評価項目求職者が確かめたいことの例会社が確認する材料
    社会性自分の仕事は、誰の生活や事業を支えるのか製品の使われ方、工事の役割、顧客や地域への貢献
    収益性事業を続け、設備・教育・待遇へ投資できるか収益の仕組み、受注の継続性、実際の投資
    労働環境無理なく、安全に働き続けられるか勤務時間、現場の範囲、業務分担、安全対策、休暇の運用
    やりがい技能や判断を活かし、役割を広げられるか担当工程、裁量、学ぶ機会、役割と評価
    給与必要な収入を確保し、貢献に応じた報酬を得られるか基本給、手当、賞与の実績、昇給・評価の仕組み

    これらの重みは、人によって異なります。

    例えば、長期出張を減らしたい施工管理経験者には、現場の範囲が重要な判断材料になります。機械操作から段取りへ技能を広げたい加工経験者なら、担当できる工程や教育の時間が気になるでしょう。

    収入を維持したい人にとっては、基本給に加え、残業や夜勤の手当がどう変わるかも大切です。「やりがいがあります」という説明だけで、必要な収入への不安を解消できるとは限りません。

    また、収益性の高さが、そのまま社員の待遇の良さを意味するわけでもありません。利益を設備、教育、給与などにどう振り向けているかまで確かめる必要があります。

    会社が誇りに思うことと、採用したい人が入社を決める理由が、同じとは限りません。 求職者の立場から、評価する項目とその優先順位を考えましょう。

    欲しい人材が重視する項目から、実態を伸ばす

    欲しい人材の評価項目が分かると、会社のどこを改善するかも考えやすくなります。

    最初に、任せる仕事と必要な経験を定めます。次に、その人が転職で何を変えたくて、何を維持したいのかを具体化します。社員の入社理由や、応募者からの質問、確認できる辞退理由も手掛かりになります。

    そのうえで、相手が重視する点と、自社の現状を並べます。以下は、改善の方向を考えるための例です。

    採りたい人の例重視する項目実態を伸ばす取り組みの例
    帰社後の書類負担を減らしたい施工管理経験者労働環境・生活時間写真整理や書類作業の分担を見直す
    機械操作から段取りへ技能を広げたい加工経験者やりがい・技能習得指導役と教育時間を確保する
    残業への依存を減らし、収入を確保したい人給与・生活時間継続できる原資を確認し、基本給・評価・業務運営を見直す

    教育の充実を訴求するなら、指導する人を決め、教える時間を業務の中に確保する。生活時間を確保できる職場を目指すなら、仕事の分担や段取りを変える。こうした実態の改善があって、伝えられる内容も充実します。

    限られた経営資源の中では、伸ばす項目の優先順位が必要です。必要な安全対策や適正な労働条件を土台にしつつ、採りたい人が特に大切にする点から改善を考えます。

    欲しい人材の評価項目は、何を伝えるかと、会社の何を伸ばすかを決める手掛かりになります。

    ターゲットを具体化する方法は、「AIで質の良い求人票をつくる」でも解説しています。

    企業の地力を育てる支援が、採用力にもつながってきた

    私は、これまで200社以上の企業に対して、採用に加え、営業、マーケティング、広報、オペレーションの高度化、商品企画、顧客体験の向上、内部統制など、さまざまな支援を行ってきました。

    これらは、企業の実態、すなわち「地力」を育てる活動です。その中で、企業の地力が向上したからこそ、採用力が強化される事例を数多く経験してきました。

    企業機能の強化と採用のつながりを考えると、理由が見えてきます。

    営業やマーケティングを改善し、利益を確保できる仕事を増やすことは、教育や待遇へ投資する余地につながります。商品企画や顧客体験を磨き、顧客から選ばれる理由が明確になると、社員も自分たちの仕事の価値を説明しやすくなります。

    オペレーションを高度化し、手戻りや特定の人への業務集中を減らすことは、働き続けやすい職場づくりに関わります。内部統制を整え、役割や確認の仕組みを明確にすることも、安心して仕事に取り組める環境を支えます。広報は、そうした取り組みと価値を社外へ伝える役割を担います。

    もちろん、利益が増えれば自動的に給与が上がるわけではありません。業務に余力が生まれたときに、教育へ時間を振り向けるかも、経営の判断です。地力の向上を、社員が経験する仕事や条件へつなげていく必要があります。

    こうした経験から、私は採用の課題を考える際も、事業の仕組みや現場の仕事に目を向けます。どのように価値を生み、利益を確保し、社員がどんな仕事をしているのか。その理解が、自社を選ぶ理由を育て、伝える出発点になります。

    「ない袖は振れない」。背伸びした訴求が信頼を削る

    砂川大輔事務所は、「質実剛健」を旨としています。

    「ない袖は振れない」「背伸びは身を亡ぼす」。私は、採用にもこの考え方が当てはまると考えています。

    例えば、指導する人も時間も決まっていないのに「充実した教育体制」と書く。特定の社員だけが利用できる働き方を、誰にでも適用される条件のように紹介する。検討中の制度を、既に使える制度として掲載する。こうした表現は、入社後の体験との隔たりを生みます。

    本人がその条件を重視して入社していれば、失望も大きくなるでしょう。「教えてもらえると思っていたのに」「この働き方ができるから選んだのに」という思いは、会社への不信につながります。

    だからこそ、次の三つは区別して伝えます。

    • 現在の実態: 今、誰に、どのような条件で提供できるか。
    • 決定済みの変更: いつから、誰を対象に、何を変えるか。
    • 将来の目標: 何を目指し、現在どこまで取り組んでいるか。

    改善や挑戦の目標は、目標として語れます。その際も、現在の働き方を正確に説明し、応募者が入社後の生活を判断できるようにします。

    入社した人に「説明どおりだった」と思ってもらえるか。その視点で、求人の文言を確かめましょう。

    前職で見てきた、レビューが残す影響

    私はEC企業に勤務していたとき、悪いレビューがついて伸び悩む商品を数多く見てきました。

    購入した人の体験は、その商品を次に検討する人の判断材料になります。この経験から、私は、伝えた内容と実際の体験の差を軽視してはいけないと考えています。

    採用でも、入社した人の体験は、その後に会社を検討する人へ伝わり得ます。

    例えば、OpenWorkでは、社員による会社評価や、入社後のギャップ、働きがい、退職を考えた理由などが共有されています。会社が出す求人や採用サイトに加え、実際に働いた人の声も、求職者が比較する材料になります。

    会社名を調べる過程では、Googleマップの口コミなどの外部評価に触れることもあります。社員口コミサイトとは用途や投稿ルールが異なりますが、公式の説明と社外の声を並べて確かめられる環境にあることは、意識しておく必要があります。

    求人で伝えたことと、入社後の仕事が大きく違う。その不信が「嘘つき企業だ」という受け止めにつながれば、今回の採用だけでは済まないおそれがあります。次の応募者が会社を調べ、応募をためらうきっかけにもなり得るからです。

    一人が早期に退職すれば、再募集や教育のやり直しが必要になります。そこへ会社への不信が重なると、次の採用を進める負担も増します。人手不足に苦しむ中小企業にとって、こうした信用の損失は、事業の継続にも響きかねません。

    口コミには、投稿者の主観や在籍時期、部署による違いもあります。一つの投稿だけで会社全体の実態が決まるわけではありません。それでも、自社が伝える内容と実態を確かめ、説明によって生じる期待に責任を持つことはできます。

    実態を磨き、その変化を確かめて伝える

    実務では、まず一つの職種を選び、次の順序で取り組みます。

    1. 採りたい人と仕事を定める。 必要な経験と、入社後に任せる仕事を整理します。
    2. 重要な評価項目を確かめる。 転職で変えたいこと、維持したい条件、譲れない点を具体化します。
    3. 現状を確認し、改善を決める。 現場の話や記録を確認し、改善する内容と担当者を決めます。
    4. 改善を実行し、運用を確かめる。 制度の名前だけで判断せず、誰がどのように使えているかを見ます。
    5. 根拠をそろえて伝える。 仕事の流れ、写真、担当者の説明、記録を使い、求人票・サイト・面接へ反映します。
    6. 入社後の体験から見直す。 説明と違った点や、役に立った情報を聞き、職場と説明の両方へ戻します。

    例えば、施工管理者の書類負担を減らすために分担を変えたなら、実際にどの作業を誰が担うようになったかを確認します。勤務時間の変化を伝える際も、対象となる職種や期間をそろえて記録を確かめます。

    「働きやすくなりました」とだけ書くよりも、仕事内容と変化が分かる説明にできます。

    すべての改善が終わるまで発信を待つ必要はありません。今、提供できている強みは具体的に伝え、改善中の点は状況を説明します。運用が変わったら、求人票、サイト、面接で使う説明を一緒に更新しましょう。

    説明と体験をそろえる考え方は、「採用力を高める『整合』の考え方」で詳しく扱っています。

    企業の実態と採用について、よくある質問

    給与をすぐに上げられない会社は、何から取り組めばよいですか?

    採りたい人が必要とする収入と、ほかに重視する条件を確かめます。そのうえで、現在の条件が合うか、どの実態を改善できるかを考えます。給与の改善が必要なら、その原資を生む事業や業務の見直しも検討します。

    会社の弱みも、すべて求人票に書くべきですか?

    入社の判断に影響する仕事内容、条件、負担は具体的に説明します。例えば、暑さ、重量物の扱い、出張などがあるなら、その実態と対策を伝えます。求職者が自分に合うかを判断できる情報をそろえることが大切です。

    改善中の取り組みを、採用広報で紹介してもよいですか?

    現在の運用と目標を区別して紹介できます。どんな課題に取り組み、何を実施し、どこが未完了なのかを具体的に伝えます。導入が決まった制度も、対象者や開始時期を明示しましょう。

    質実剛健な採用支援で、選ばれる理由を育てる

    採用したい人が大切にする項目と、自社の現状を並べてみてください。既に応えられること、改善できること、今は約束できないことが見えてきます。

    そこから企業の実態を伸ばし、提供できる価値を具体的な言葉で伝える。企業の地力と伝える力を一緒に磨くことが、当事務所の考える質実剛健な採用支援です。

    砂川大輔事務所では、幅広い企業機能を支援してきた経験をもとに、事業と現場を理解し、採用ターゲットの整理、求人票・採用サイトの制作、情報発信、担当者育成まで一貫して対応します。取材で見えてきた実態や改善が必要な点を経営者と共有し、根拠のある説明へつなげます。

    社内で制作・発信を続ける人を育てる考え方は、「採用担当者の育て方」でも紹介しています。

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    著者:砂川大輔
    砂川大輔事務所 代表。内閣府プロフェッショナル人材活用ガイドブック3度掲載。富士通・アマゾンジャパンの正社員として経営戦略やマーケティングに従事。経験を活かし200社超の中小企業の事業に伴走。建設業・製造業の引き合いが多く、採用計画から制作・情報発信・担当者育成まで支援する。1級土木施工管理技士補、甲種危険物取扱者、甲種火薬類取扱保安責任者、第一種衛生管理者、PRプランナー、内部監査士など、建設・製造業の採用に関する資格を保有。

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  • 採用担当者の育て方 最初に教えるのは「成果物をつくる技術」

    採用担当者の育て方 最初に教えるのは「成果物をつくる技術」

    「総務担当者に採用広報を任せたい。でも、経験がない人に何から教えればよいのだろう。」

    建設業・製造業の中小企業では、総務や経理の担当者が採用を兼務することがあります。求人票の更新に加え、採用サイトの記事やプレスリリースも任せたい。そのための育成を、どこから始めるかが今回のテーマです。

    私は、採用担当者には、成果物をつくって世に出す技術を最優先で伝えることを重視しています。

    例えば、求職者の疑問に答える記事をつくり、採用サイトへ投稿する。会社の新しい取り組みをプレスリリースにまとめ、PR TIMESで発信する。文章や写真を整え、公開するところまで、自分の手でできるようにします。

    自分でつくれると、腕を磨く場数が増えます。そして、自分の表現が世に出る喜びが、次の企画や取材へ向かう力になる。私は、この順番で担当者を育てることが大切だと考えています。

    最初に、自分の手でつくって公開できるようにする

    最初の目標は、「一本の記事を、自分の手で公開できること」。

    原稿・見出し・写真を整え、管理画面へ入稿し、表示を確認して公開する。自分の考えが形になる、創造の喜びを体験してもらいます。

    教材には、実際に会社で使う成果物を選びましょう。

    最初につくる成果物身につける技術指導者が用意できるもの
    採用サイトの記事文章の構成、見出し、写真の選択・加工、入稿、表示確認、公開読者の疑問、回答に使う事実、取材メモ、記事の見本
    PR TIMESのプレスリリースタイトル・要旨・本文の作成、画像の準備、入稿、プレビュー、配信発表するニュース、背景資料、会社情報、原稿の見本
    求人票・職種紹介ページ仕事内容と条件の整理、原稿・写真の修正、掲載先への反映確認済みの募集条件、仕事の説明、既存原稿

    初回は、指導者がテーマと素材を用意して構いません。「誰に、何を伝えるか」を一緒に定め、その材料を使って担当者本人が手を動かします。

    文章の構成を見せたら、次の段落を書いてもらう。写真を一枚整えたら、次の写真を任せる。作業を代わりに済ませる範囲を少しずつ減らし、本人が完成させる経験を積んでもらいます。

    採用サイトに、求職者の疑問へ答える記事を投稿する

    例えば、AI検索対策を意識した記事を題材にできます。ここでは、求職者がAIへ尋ねそうな疑問を想定し、自社の仕事や職場の事実で答える記事を考えます。

    製造業なら、「未経験で入社したら、最初はどんな仕事を担当するのか」というテーマです。実際の担当作業、教える人、仕事を覚える過程を、写真と文章で説明します。

    初回は、現場で確認したメモを指導者が用意します。担当者は、それを読み手に伝わる順番へ並べ、見出しを付け、写真を入れ、採用サイトへ投稿します。AIを使う場合も、このメモから下書きをつくり、事実を確かめ、自社の言葉へ直す工程を一緒に経験します。

    公開後は、スマートフォンでページを開きます。写真が見やすいか、仕事の説明が伝わるか、募集情報へのリンクが使えるかまで確かめます。ここまでを、一本の制作として教えます。

    プレスリリースをつくり、PR TIMESで発信する

    実際に新しい取り組みを始める会社なら、プレスリリースも教材になります。職場見学会の開催、新しい育成制度、技術研修の開始など、発表する情報がある場合です。

    何を始めるのか、なぜ取り組むのか、誰にどんな変化があるのかをまとめ、タイトル・要旨・本文をつくります。写真や会社情報を整え、入稿し、公開内容の確認を経て配信へ進みます。

    PR TIMESは、企業の事業や組織に関する新情報をプレスリリースとして発表するサービスです。仕組みは、PR TIMESの公式説明でも紹介されています。

    最初に取り組む媒体は、自社の素材と利用環境に合わせて一つ選べばよいでしょう。指導者と一緒に、実際に使う成果物を完成させることから始めます。

    つくれるようになると、場数が増えて腕が磨かれる

    制作から公開までを経験すると、次の題材が見つかったときに、自分で着手できます。社員の話を記事にする。求職者から聞かれた質問へ答える。自ら試して改善する機会です。

    前回の原稿や画像のひな型も、次の制作に役立ちます。操作に慣れた分、新たな工夫に時間を使えます。

    例えば、一本目では「製造スタッフの仕事」という見出しを付けたとします。次は、読む人の疑問を考え、「未経験で入社したら、最初に担当する作業は?」と具体化する。写真も、機械の全景から、担当する作業が分かる場面へ変える。こうした工夫を、実際の制作で経験します。

    つくれる技術があるから、試せる。試す機会が増えるから、技術を磨ける。

    この場数は、読者へ届ける価値のある内容を完成させ、公開し、振り返る回数です。次の一本で何を改善するかを考えながら、経験を重ねます。

    自分の表現が世に出る喜びが、次の一本を生む

    自分で考えた見出しが、会社のサイトに載る。選んだ写真と文章が並び、誰でも読めるページになる。取材した社員に、完成した記事を見せられる。

    発信には、自分の表現が世に出る喜びがあります。

    社内では当たり前になっていた技術や工夫も、言葉と写真を組み合わせることで、初めて会社を知る人へ伝えられます。自分が会社の仕事を理解し、それを形にして届けた。その手応えを、担当者自身が得られることに意味があります。

    私は、この喜びが「もう一本つくりたい」「次は別の仕事も紹介したい」という意欲につながると考えています。

    初めて公開したときは、指導者も一緒に完成したページを見ましょう。「この写真で作業が分かるようになった」「この見出しなら未経験の人も読み始めやすい」と、本人が工夫した点を具体的に確かめます。

    閲覧数や応募数は、採用活動の結果として追っていきます。育成の初期には、自分で完成・公開できたことも確かめ、次に伝えたいことを一緒に考えます。

    発信したい気持ちが、企画・取材・情報収集を動かす

    「次の記事をつくりたい」と思えば、その材料を探す理由が生まれます。

    先輩社員は、新人のどこを見て教えているのか。新しい設備が入ると、担当する仕事はどう変わるのか。工場見学に来た人は、どの説明に関心を持ったのか。日々の仕事の中に、次の発信の題材を見つけるようになります。

    制作を経験していると、集める情報も具体化します。文章を書いて説明が足りないと感じた経験があれば、次の取材ではその点を聞けます。写真を選ぶ際に困った経験があれば、次はどんな場面を撮るとよいかを考えられます。

    一本の制作から、次の取材へ進む例

    製造業の担当者が、初めて記事をつくる場面を例に考えてみます。

    一本目は、指導者が用意した教育内容のメモから、「未経験者が入社後に担当する仕事」を記事にします。本人が文章と写真を整え、公開まで進めます。

    完成した記事を現場で見てもらうときには、次に何を説明するとよいかも聞けます。そこで「新人が最初につまずきやすい作業」が題材になれば、担当者は指導役の社員へ、教え方や工夫を尋ねることができます。

    二本目では、その話をもとに、自分で構成を考え、必要な写真を集めます。完成する記事を一度見ているので、どこを詳しく聞き、何を撮ればよいかも考えやすくなります。

    このように、一本を発信した経験を、次の企画と取材へつなげていきます。やがて担当者から、「この取り組みを紹介したい」「この社員に話を聞きたい」という提案が出る状態を目指します。

    広報に値する情報を集める力も、発信する経験と結びつけて育てる。 これが、制作技術を先に伝える理由の一つです。

    発信を重ねながら、採用につながる表現へ磨く

    制作を続ける中では、求職者に何が伝わったかを振り返ります。

    例えば「働きやすい職場」と書いたら、誰にとって、何が働きやすいのかを考えます。地元で働きたい施工管理経験者には現場の範囲や出張、未経験の製造スタッフには最初の作業と指導体制が、判断材料になります。

    完成した記事を見ながら、次の問いを担当者と共有しましょう。

    • どんな人の、どの疑問や不安に答えたか。
    • 説明を裏づける事実や写真が入っているか。
    • 求人票や採用ページの内容とそろっているか。
    • 興味を持った人が、募集情報や応募方法へ進めるか。
    • 読んだ人の質問から、次に何を補うとよいか。

    最初は指導者が用意したテーマも、次第に本人が考えるようにします。「ここに写真を入れる」という操作の経験が、「この疑問に答えるために、この写真を撮る」という判断へつながります。

    ターゲットと選ばれる理由の整理は、「AIで質の良い求人票をつくる」で、媒体間の説明をそろえる考え方は、「採用力を高める『整合』の考え方」で詳しく解説しています。

    教える側の関わり方も、少しずつ変える

    担当者が経験を積むにつれて、支援する範囲を変えていきます。

    段階教える側と担当者の関わり方
    実演指導者が、素材から原稿・画像・公開までの流れを見せる
    併走担当者が手を動かし、一緒に一本を完成・公開する
    監修担当者が企画・制作し、指導者が内容や表現を確認する
    自走担当者が企画から発信までを進め、必要な確認や相談を行う

    記事の投稿を任せられるようになったら、題材の提案や取材も任せてみます。できる仕事と困っている点を確認し、支援する範囲を変えていきます。

    経営者は制作・確認の時間を業務として確保し、現場への協力も呼びかけましょう。公開内容の確認先や管理権限を整えておくことも、担当者が発信を続ける支えになります。

    つくり続けられる担当者を育てる支援先を選ぶ

    外部へ育成を依頼する場合は、実際に何をつくり、どの作業を担当者が経験するかを確認してください。

    指導者自身が制作から公開までを実演できること、担当者が手を動かして完成させる機会があることが重要です。次のような質問をすると、支援の進め方を確かめられます。

    確認すること支援先へ聞く質問
    制作技術記事やプレスリリースの作成・入稿・公開を実演できますか?
    本人の経験当社の担当者が作業し、一本を完成させる機会はありますか?
    継続への準備原稿・画像・ひな型・操作手順を、次の制作に使える形で残せますか?
    企画への発展完成したものを振り返り、次の企画や取材へつなげられますか?

    必要な管理権限、素材、ひな型、操作手順、公開内容の確認先も、担当者が使える状態にして引き継ぎます。どの原稿が最新版か、写真はどこにあるか、困ったときに誰へ聞くかが分かれば、次の制作へ進みやすくなります。

    私は、金型を製造する企業の採用サイトを構築した際、管理権限と運営ノウハウを企業側へ引き継ぎました。この経験は、システムブレーンのインタビューでも紹介されています。

    制作物と、それを更新・発展させる力を社内へ残す。担当者の育成まで考えると、支援先に求める仕事も具体的になります。

    採用担当者の育成について、よくある質問

    文章を書くのが苦手でも始められますか?

    初回は、事実・素材・構成例を用意し、短い記事から取り組めます。AIの下書きやひな型も使いながら、自社の内容に直し、一本を完成させる経験をつくります。

    採用や広報の理論は、いつ教えますか?

    最初の成果物に必要な読者と目的は、指導者が一緒に定めます。そのうえで、制作と公開後の振り返りを通じて、テーマの選び方や伝える内容の判断を深めていきます。

    自主性が育っているか、どう確かめますか?

    次の題材を提案する、現場への取材を申し出る、使えそうな情報を持ち寄る、公開後に修正を提案する。こうした行動の変化から確かめます。

    まず一本、自分の手でつくって世に出す

    採用担当者を育てたいときは、最初に制作・公開する成果物を一つ選びましょう。テーマと素材を用意し、担当者本人が手を動かして完成させます。

    自分の言葉や写真で会社の仕事を伝えた喜びを、次の企画や取材へつなげる。その経験を重ねながら、採用広報を自分で続ける力を育てることを、私は大切にしています。

    砂川大輔事務所では、代表が採用計画・企画から、求人票・採用サイト・記事などの制作、情報発信、担当者育成まで一貫して対応しています。制作を進めながら、担当者が操作と表現を経験し、次の一本を自分でつくれるよう支援します。

    直接応募を増やす経路の整え方は、「人材紹介の費用が負担になったら」でも解説しています。

    採用支援の内容を見る

    現在は満枠のため、新規支援の受付再開をお待ちいただいています。案内をご希望の方は、「再開したら通知を受け取る」からご登録ください。


    著者:砂川大輔
    砂川大輔事務所 代表。内閣府プロフェッショナル人材活用ガイドブック3度掲載。富士通・アマゾンジャパンの正社員として経営戦略やマーケティングに従事。経験を活かし200社超の中小企業の事業に伴走。建設業・製造業の引き合いが多く、採用計画から制作・情報発信・担当者育成まで支援する。1級土木施工管理技士補、甲種危険物取扱者、甲種火薬類取扱保安責任者、第一種衛生管理者、PRプランナー、内部監査士など、建設・製造業の採用に関する資格を保有。

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  • 人材紹介の費用が負担になったら 中小企業が直接応募を増やす方法

    人材紹介の費用が負担になったら 中小企業が直接応募を増やす方法

    「一人採用するたびに紹介料がかかる。この先も、同じ方法を続けてよいのだろうか。」

    人材紹介を利用している中小企業の経営者にとって、採用のたびに発生する費用は、見直したい支出の一つでしょう。

    人材紹介は、採用した人ごとに紹介料がかかり、1人あたりの採用費が高くなりやすい手法です。継続して採用する企業は、ハローワーク、社員紹介、自社サイトなど、費用を抑えやすい経路を育てていきましょう。

    そのために必要なのは、採りたい人を定め、その人が応募を判断できる情報を届け、応募後に対応する体制を整えることです。まずは1職種から取り組み、改善を進めましょう。

    この記事では、建設業・製造業の中小企業に向けて、主な採用手法と費用の違いを整理し、直接応募を増やす進め方を解説します。

    主な採用手法と、1人あたりの採用費の違い

    採用手法を選ぶ際は、費用が発生する仕組みを確認しましょう。採用1人ごとに料金がかかる手法もあれば、一定の掲載料で複数人を募集できる手法もあります。

    下表は、料金体系と必要な作業から見た採用単価の傾向を、当事務所で整理したものです。実際の単価は、制作・運用費、社内工数、採用人数によって変わります。

    採用手法どのような方法か1人あたりの費用の傾向
    人材紹介(エージェント)紹介会社から候補者の推薦を受ける高くなりやすい。 採用者ごとに紹介料が発生する
    ヘッドハンティング専門会社が条件に合う人材を探し、働きかける高くなりやすい。 成功報酬に加え、探索段階で着手金がかかる契約もある
    ハローワーク公的な窓口・求人情報を通じて募集する抑えやすい。 求人掲載・職業紹介は無料。原稿作成や選考の工数は必要
    リファラル採用(社員紹介)社員から知人・元同僚などを紹介してもらう抑えやすい。 社内への周知や、紹介謝礼を設ける場合の費用が中心
    SNS採用自社の投稿や交流から、仕事・職場を知ってもらう抑えやすい。 自社で運用する場合。制作・運用代行や広告には費用がかかる
    オウンドメディア自社サイト・採用ページなどで情報を発信する継続採用で抑える余地がある。 初期制作・更新費がかかる。再利用し、継続して採用できれば単価を抑えやすい
    転職サイト求人広告を掲載し、応募を受ける料金・成果による。 掲載料や成功報酬などの契約と、採用人数で変わる
    ダイレクトリクルーティング自社から候補者へスカウトする料金・成果による。 データベース利用料、成功報酬の有無、連絡の工数などが影響する
    求人検索エンジン求人を検索する人へ募集情報を届ける料金・成果による。 無料枠の条件、有料広告費、採用成果によって変わる
    人材派遣派遣会社が雇用するスタッフを受け入れる別枠で比較。 派遣料金には就業中の賃金などが含まれるため、自社雇用の採用費と分けて考える

    SNSや自社サイトも、制作・運用に費用をかけて採用につながらなければ、負担は大きくなります。「費用を抑えやすい」とは、運用を絞り、実際の採用へつなげられた場合の傾向です。

    なお、ここでのダイレクトリクルーティングは、主に企業からのスカウトを指します。自社サイトは、SNSや社員紹介から訪れた人の判断材料にもなるため、各手法は組み合わせて活用できます。

    人材紹介の費用を、1人単位で考える

    例えば、入社後1年間の想定年収(理論年収)が400万円、紹介料率35%の契約なら、紹介料は次の金額になります。

    400万円 × 35% = 140万円(税別)

    これは契約条件を仮定した例です。料率や年収の算定方法、早期退職時の返金条件は契約によって異なります。リクルートエージェントの公式解説でも、同様の計算例が示されています。

    紹介料には、候補者を探して推薦し、選考を調整する支援への対価が含まれます。社内の負担を軽くできる一方、採用が続けば、その都度まとまった支出が生じます。

    そこで見直したいのが、自社で応募を集める経路です。ハローワークの求人票、社員が知人へ渡す募集情報、自社の採用ページ。改善しきれていないものがあれば、手を入れる余地があります。

    費用を抑えやすい手法を磨き、自社で採用できる割合を増やす。 これを、継続的な採用に向けた方針として持ちましょう。

    費用を抑えやすい経路を育て、人材紹介と組み合わせる

    最初に、現在募集中の職種と、今後採用したい職種を並べてみてください。必要人数、採用期限、求める経験、利用中の経路を整理します。

    直接応募の経路を育てる対象には、今後も繰り返し募集する職種が候補になります。同じ職種の原稿や写真、応募者からの質問を、次の募集にも活かせるからです。

    例えば、製造スタッフを継続して採用する会社なら、その職種の仕事内容や教育体制を詳しく伝えるページを整えます。一方で、期限が迫る募集や、接点を持ちにくい経験者の募集では、紹介会社の探索力を活用する選択もあります。どちらを使うかは、これまでの採用結果と社内体制を踏まえて決めます。

    自社で応募を受ける際は、誰が掲載内容を更新し、応募を確認し、面接へつなぐかも確認しましょう。現在、紹介会社が担っている仕事を把握すると、社内に必要な作業が見えてきます。

    この記事では、求職者が民間人材紹介会社の個別紹介を経ずに企業の求人へ応募することを、直接応募と呼びます。自社フォームのほか、求人媒体内の応募も含みます。ハローワークの職員による紹介はこれと区別し、費用を抑えやすい経路として併せて扱います。

    まず1職種で、誰に何を伝えるかを決める

    改善の対象を1職種に絞ったら、採りたい人の状況を具体的に考えます。

    必要な資格や経験に加え、今どんな仕事をしていて、何に困り、転職で何を変えたいのかを整理します。自社の社員に、入社前の仕事や応募した理由を聞くことも、手掛かりになります。

    次は、対象者と伝える内容を考えるための例です。

    採りたい人の例転職先を選ぶ際の関心自社で確認して伝えること
    地元で働きたい施工管理経験者現場の範囲、出張、生活時間実際の施工エリア、出張頻度、業務の分担
    製造業へ転職したい未経験者仕事を覚えられるか、勤務時間最初に任せる作業、指導担当、勤務形態
    技能を広げたい加工経験者担当できる工程、成長の機会設備・加工内容、任せる範囲、教育と評価

    例えば、地元で働きたい経験者に「成長できる会社」と伝えるだけでは、知りたいことに答えられません。その会社で働くことで生活がどう変わるのかを、実際の施工エリアや働き方から説明します。

    採用手法を変える際も、誰に選ばれたいのかが曖昧なままでは、原稿の改善が進みません。 対象者の関心と、自社が提供できる仕事・条件を結びつけましょう。

    ターゲットと選ばれる理由の整理は、「AIで質の良い求人票をつくる」で詳しく解説しています。

    応募を受け止める情報と担当者を先にそろえる

    求人や投稿を見て興味を持った人が、会社を調べたときに何を確認できるでしょうか。

    「製造スタッフ募集」と書かれていても、何を作り、どんな工程を担当し、どの時間帯に働くのかが分からなければ、応募を判断できません。優先する職種について、仕事、条件、教育、職場、応募方法を確認できる場所を整えます。

    求人票と採用サイトの説明もそろえましょう。求人票でひいた興味を、採用サイトの具体的な説明や写真で確信に変えていきます。

    サイトの改善項目は、「採用サイトから応募が来ないときに」も参考にしてください。

    次に、応募後の対応を決めます。

    • 応募を誰が確認するか。
    • いつまでを目安に返答するか。
    • 担当者が不在のとき、誰が代わるか。
    • 現場の説明や面接へ、どうつなぐか。

    準備ができたら、スマートフォンで募集ページを開き、応募から社内での受信までを確認します。入力しにくい箇所や、確認されない受信先があれば、募集を広げる前に直します。

    費用を抑えやすい経路を、具体的に洗練する

    使っている手法を増やす前に、現在の募集内容を見直してみましょう。対象者、原稿、写真、案内先、対応方法のどこに改善の余地があるかを確認します。

    ハローワークは、仕事内容と働く条件を具体化する

    ハローワークでは、無料で求人を公開できます。まずは、求人票を初めて読む人が仕事を想像できるかを確かめましょう。

    例えば「製造業務全般」だけでは、応募者は担当する作業をつかめません。材料の投入、機械の操作、目視検査、梱包など、実際の作業を示します。未経験者を採るなら、最初に担当する仕事と、誰が教えるかも伝えます。

    建設業なら、工事の種類、現場の範囲、任せる役割を具体化します。条件を変更した際は、求人票と採用サイトの両方を更新します。

    求人公開などのサービスは、厚生労働省の公式案内で確認できます。

    社員紹介は、声をかけやすい募集情報を用意する

    社員に「誰かよい人はいないか」と聞いても、どんな人を紹介すればよいのかが伝わらなければ、声をかけにくいものです。

    必要な経験、入社後の仕事、給与や勤務条件、応募・相談の方法を、一つのページや資料にまとめます。社員が知人へそのまま渡せる形にしておくと、説明の負担を減らせます。

    あわせて、どんな経験の人に声をかけてほしいのかを共有します。「加工経験者」でも、機械操作の経験を求めるのか、段取りやプログラムまで任せたいのかで、対象者は変わります。

    自社サイトは、募集中の職種まで迷わず進めるようにする

    求人や社員の紹介で会社を知った人が、社名を検索してサイトを訪れる場面を考えてみましょう。

    会社概要や製品紹介を読んでも、募集中の仕事へ進めなければ、応募の機会を逃しかねません。トップページから採用情報へ、採用情報から各職種の詳細へ進めるようにします。

    職種ページには、勤務地、具体的な作業、必要な経験、勤務条件を記載します。写真や社員の説明も、対象者が気にする点に合わせて選びます。地域・職種で探す人を意識した情報の整理は、検索からの接点を育てるうえでも役立ちます。

    求人検索エンジンやSNSは、届ける相手と運用を絞る

    求人検索エンジンを利用する場合は、無料掲載の条件と有料広告の料金を確認します。例えばIndeedには無料掲載と有料オプションがあり、無料掲載には件数や表示期間などの条件があります。

    求人が見られても応募につながらないなら、原稿や条件、案内先を点検します。閲覧自体が少ない場合は、職種名や勤務地の伝わり方、掲載状況、必要に応じた広告を検討します。

    SNSは、採りたい人との接点と、継続できる作業量を考えて選びます。加工の流れ、新人が仕事を覚える過程、現場での分担など、応募の判断に役立つ情報を届けましょう。毎日投稿を目標にするよりも、誰に何を伝えるかを決め、募集情報へ進めるようにすることが先です。

    費用は、入社までに使ったお金と社内の時間で比べる

    紹介料がかからない経路でも、採用には費用と時間がかかります。費用対効果を判断する際は、次の項目を記録します。

    費用・時間記録する内容
    最初の整備採用ページ、原稿、写真、応募受付の設定
    募集・集客求人掲載、広告、利用サービス
    運用の外注更新、原稿制作、改善支援
    社内の作業取材協力、原稿確認、応募対応、面接
    人材紹介の併用契約に基づく紹介料

    採用単価の基本的な見方は、次のとおりです。

    対象の募集にかかった費用総額 ÷ その募集からの入社人数

    社内の時間を費用に換算する場合は、双方の経路で同じ基準を使います。直接応募には面接や対応の工数を含め、人材紹介には紹介料しか含めない、といった比較は避けましょう。

    初期制作費と毎月の運用費も分けます。複数の職種や経路で使う採用サイトの費用は、対象とする期間・範囲を決めて配分し、二重に数えないようにします。

    また、自社サイトを読んでから求人媒体へ戻って応募する人もいます。応募窓口だけで判断せず、「何を見て応募を決めたか」も聞くと、改善した情報の役割が分かります。

    まだ入社者がいない段階では、採用単価を算出できません。使った費用とともに、応募、面接、辞退理由を確認します。入社人数に加え、求める技能との適合、採用までの期間、社内負担も見ながら、続ける取り組みを決めていきます。

    原稿・素材・対応手順を、次の募集へ残す

    直接応募を増やす取り組みでは、今回の採用で用意したものを、次の募集へ残すことも大切です。

    明文化したターゲット、求人原稿、写真、社員の説明、応募者から聞かれた質問。これらが整理されていれば、次回は変わった条件や現場の状況を確かめ、必要な箇所から更新できます。

    掲載先の管理権限や、更新・応募確認の手順も残しましょう。外部に制作を依頼する際は、納品後に誰が更新するか、原稿や写真をどこで再利用できるかまで確認します。

    社内担当者が外部の支援者と実務を進め、判断の理由や作業方法を覚えていくことも有効です。求人原稿を直す際に、どの応募者の質問を受けて何を変えたのかまで共有すると、次の改善に活かせます。

    募集のたびに、伝える内容と運用の両方を改善し、その成果を社内へ残す。 こうした積み重ねが、費用を抑えやすい経路で採用する力につながります。

    直接応募を増やす際によくある質問

    人材紹介を使いながら取り組めますか?

    取り組めます。職種や期限に応じて人材紹介を活用しながら、自社で応募を集める経路を育てます。経路ごとの費用と結果を記録し、次の募集で使う組み合わせを見直しましょう。

    知名度が低い会社でも取り組めますか?

    採りたい人を絞り、その人が会社を知る接点と、応募を判断する情報を整えるところから始められます。地域、職種、働き方など、自社が選ばれる理由を具体的に伝えましょう。

    採用専用サイトの新設は必要ですか?

    既存の会社サイトや求人媒体に、必要な情報と応募方法を整えられるかを先に確認します。優先する職種のページを充実させる方法もあります。

    SNSは必ず始めたほうがよいですか?

    採用対象との接点、発信できる素材、運用時間を踏まえて判断します。既存の求人票や採用ページに改善の余地があれば、そこから取り組めます。

    応募が増えるまで、どれくらいかかりますか?

    職種、地域、条件、既存の接点によって変わります。確認する時期を決め、閲覧・応募・面接・入社のどこで止まっているかを見ながら改善します。採用活動の各段階を点検する方法も解説しています。

    採用担当者がいなくても進められますか?

    社内の窓口と、仕事・条件を確認する人を決め、取材や制作などを外部と分担する方法があります。兼任担当者が使える時間に合わせて、対象職種と作業を絞ります。詳しくは、「採用担当者がいない中小企業へ」をご覧ください。

    費用を抑えやすい経路を、採用につながる状態へ育てる

    採用のたびに紹介料が負担になるなら、自社で使っている募集経路を点検してみてください。

    求人票は、採りたい人の関心に答えているか。社員は、誰に声をかければよいか分かっているか。採用サイトで仕事を判断でき、応募後の対応まで決まっているか。

    まずは1職種で、伝える情報と受け付ける体制をそろえ、採りたい人との接点を増やしましょう。結果を記録し、原稿や手順を改善して次の募集へ残します。

    砂川大輔事務所では、代表が採用計画・ターゲットの整理から、求人票・採用サイトの制作、情報発信、担当者育成まで一貫して対応しています。現場の事情と社内で担える作業を確認し、制作と運用に反映します。

    既存の求人やサイトをどう改善するか、担当者が何を担えるようにするかも含め、継続して採用に取り組める体制を整えます。

    採用支援の内容を見る

    現在は満枠のため、新規支援の受付再開をお待ちいただいています。再開時の案内をご希望の方は、「再開したら通知を受け取る」からご登録ください。


    著者:砂川大輔
    砂川大輔事務所 代表。内閣府プロフェッショナル人材活用ガイドブック3度掲載。富士通・アマゾンジャパンの正社員として経営戦略やマーケティングに従事。経験を活かし200社超の中小企業の事業に伴走。建設業・製造業の引き合いが多く、採用計画から制作・情報発信・担当者育成まで支援する。1級土木施工管理技士補、甲種危険物取扱者、甲種火薬類取扱保安責任者、第一種衛生管理者、PRプランナー、内部監査士など、建設・製造業の採用に関する資格を保有。

    著者の経歴・専門性を見る


    参考資料

    採用手法の10分類は、mog careerの「【全10種】主要な中途採用手法の特徴」を参考に、説明と費用分類を当事務所で整理しています。各手法の料金・仕組みについては、以下の公式資料を参照しています。

    情報確認日:2026年9月27日。

  • 採用力を高める「整合」の考え方 求人・面接・職場のズレをなくす

    採用力を高める「整合」の考え方 求人・面接・職場のズレをなくす

    求人票には「未経験者を丁寧に育てます」と書いてある。ところが、面接では「経験はありますか」と聞かれる。入社してみると、教える担当者も時間も決まっていない。

    例えば、こんな会社に出会ったら、求職者はどう感じるでしょうか。「どの説明を信じればよいのか」「入社して大丈夫だろうか」と不安になるはずです。

    採用力を高めるには、仕事、待遇、伝える内容、人の対応に筋を通すことが大切です。本記事では、この筋が通った状態を「整合」と呼びます。

    社風と従業員の言動、求人票と採用サイト、採用サイトと面接官、業務内容と給与。こうした組み合わせの食い違いを見つけ、解消することが、採用力につながります。

    建設業・製造業の中小企業を念頭に、不整合の具体例と直し方、整合を保ちやすい支援先の選び方を紹介します。

    求職者は、説明と体験を重ねながら会社を判断する

    求人票に興味を持った人は、採用サイトを読み、会社について調べ、面接で話を聞きます。その過程で、最初に感じた魅力が確かなものかを見極めていきます。

    「現場の提案を大切にする会社」にひかれて応募したのに、面接官が話を遮る。休日を取りやすいと聞いていたのに、配属先の上司から違う説明を受ける。こうした経験が重なると興味は幻滅に変わっていきます。

    求人票を書いた人、サイトをつくった人、面接をする人が違っても、求職者にとっては一つの会社です。社内の分担にかかわらず、説明や対応は会社全体の姿勢として受け取られます。

    求人票でひいた興味を、採用サイトで確信に変える。そして、面接や入社後の職場で、その確信に応える。 このつながりを整えることが重要です。

    採用力を弱める、21の不整合

    自社の採用活動を、次の組み合わせで点検してみてください。以下は、食い違いを確かめるための仮の例です。

    仕事・待遇・社風の不整合

    整合を確かめる組み合わせ不整合の例
    社風と従業員の言動「意見を言いやすい会社」と掲げるが、上司が現場の提案を取り合わない
    業務内容と給与機械の操作に加え、段取り・品質判断・後輩指導まで任せるが、その責任が給与に反映されていない
    募集要件と待遇複数資格と豊富な経験を必須にしているが、それに応じた待遇を用意できていない
    未経験者歓迎と教育体制経験不問で募集しているが、教える人・時間・手順が決まっていない
    裁量の訴求と実際の権限「自分で判断できる」と説明するが、小さな変更にも社長の承認が必要
    成長の訴求と育成・評価技術を伸ばせると伝えるが、習熟に応じた仕事や評価の道筋がない
    働き方の制度と現場の運用休みを相談できる制度はあるが、交代要員がおらず利用の相談が進まない

    社風は、従業員の日々の言動に表れます。「助け合う会社」と伝えるなら、新人が困ったときに声をかけられる相手がいるか。「提案を歓迎する会社」なら、現場の意見を聞く機会があるか。掲げた言葉を、具体的な行動から確かめます。

    業務内容と給与も一組で考えたいところです。施工管理の経験者に工程・安全・品質の管理を任せるのか、一部の補助業務から担当してもらうのかで、求める技能や責任は変わります。任せる範囲を広げるなら、それに応じた待遇を検討する必要があります。

    求人・採用サイト・選考の不整合

    整合を確かめる組み合わせ不整合の例
    採用ターゲットと訴求生活時間を安定させたい経験者に対し、成長機会だけを伝えて勤務時間を説明しない
    求人票と採用サイト求人票では経験者の専門性を訴求するが、サイトには新卒・未経験者向けの説明しかない
    各媒体の募集条件給与や休日を変更したが、一部の求人媒体には古い条件が残っている
    採用サイトと面接官「対話を大切にする」と書いてあるが、面接官が質問を遮って一方的に話す
    採用担当者と配属先の上司採用担当者は育成を前提に説明するが、配属先の上司は即戦力を求めている
    面接での説明と配属後の業務面接では工程改善を任せると話したが、入社後は補助作業が中心になっている
    応募の呼びかけと応募後の対応「まずは気軽にご応募ください」と呼びかける一方、問い合わせへの返信が遅い

    面接官は、採用サイトに書かれた会社の姿を、言葉と態度で示す立場にあります。面接を担当する前に、求人票や採用サイトを読み、どのような期待を持って応募してくる人なのかを理解しておく必要があります。

    仕事の説明にも具体性が必要です。例えば、工程改善を将来任せる予定なら、入社直後の担当業務と、その後の役割を分けて伝えます。時期や条件を省いた説明は、期待の食い違いを生みます。

    採用計画・運用・外部支援の不整合

    整合を確かめる組み合わせ不整合の例
    事業計画と採用時期・人数新しい現場の稼働直前に採用を始め、選考や育成に必要な期間を確保できない
    採用人数と受け入れ体制一度に複数人を採用したいが、教えられる従業員は一人しかいない
    採用方針と選考基準育成を前提に募集を始めたのに、選考では一人で全業務を担える人だけを通す
    発信計画と更新できる時間毎日の発信を計画するが、兼任担当者には素材を集める時間がない
    外部支援の範囲と実際の課題面接や受け入れに課題があるのに、求人広告の追加だけを繰り返す
    制作物と納品後の運用体制採用サイトは完成したが、募集条件を更新する担当者や手順が決まっていない
    支援体制と採用規模・予算少人数の採用支援に多くの担当者が関わり、説明や調整の負担が改善に使える時間・予算を圧迫する

    採用に関わる計画や支援体制も、点検の対象です。募集を増やした分だけ、面接や教育に使える時間があるか。発信を続ける担当者がいるか。現場と採用担当者の両方に確かめてみましょう。

    不整合は、直す場所を見極める

    見つかった食い違いは、内容によって対応が変わります。

    情報を直す

    給与や休日の古い表記、媒体ごとに異なる仕事内容などは、正しい情報を確認して修正します。

    その際、求人票、採用サイト、求人媒体などの掲載先を一覧にしておくと、修正漏れを防ぎやすくなります。今後の変更を誰が確認し、誰が反映するかも決めておきましょう。

    運用を直す

    面接官によって説明が異なるなら、採用方針や任せる仕事を共有します。応募への返信が遅いなら、担当者と対応期限を決めます。

    未経験者を採用する場合は、現場で教えられる工程と時間を確認し、入社直後の仕事と指導担当を決めます。その内容を求人票や採用サイトに反映し、面接でも説明します。受け入れの準備と発信をつなぐことで、「丁寧に育てる」という言葉に根拠が生まれます。

    仕事や条件を見直す

    求める技能・責任と給与が釣り合わない場合は、報酬、任せる業務、募集要件を合わせて検討します。給与をすぐに上げることが難しければ、入社時点で求める技能を絞り、育成を前提に仕事を分ける方法も考えられます。

    この場合は、教える従業員の負担や育成期間も見込む必要があります。募集要件を下げた分を、現場に押しつけてしまえば、別の不整合が生まれます。

    私は富士通CEO室で、経営方針の策定・実行支援や進捗管理に携わってきました。採用でも、決めた方針を、担当者、期限、日々の仕事まで落とし込んで考えることを重視しています。

    着手する順番に迷ったら、面接で繰り返し聞かれる質問、辞退時に伝えられた理由、入社した人が戸惑った点を集めてみてください。どこに食い違いがあるのかを考える手掛かりになります。

    分業した仕事の整合を担う、ディレクターという役割

    ここまで見てきた整合は、外部の支援先に依頼する際にも重要です。

    Web制作では、企画、取材・執筆、撮影、デザイン、実装などを分担する体制があります。それぞれの専門性を持ち寄り、制作を進めます。

    この仕事をまとめる役割の一つが、ディレクターです。厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」でも、Webディレクターの仕事として、依頼主の目的・予算・納期の確認、制作スタッフへの指示、進行・品質管理などが紹介されています。

    ディレクターは、分担した仕事の方向性をそろえ、品質と納期を管理します。見積もりに「ディレクション費」を設け、要件整理や関係者の調整、品質確認などの費用として示す制作会社もあります。例えば、株式会社デパートによるディレクション費の解説では、こうした業務が説明されています。

    採用支援を選ぶ際には、この体制が扱う範囲にも目を向けたいところです。

    求人票、採用サイト、面接の支援をそれぞれ別の会社に依頼した場合、各社の担当者が見ている範囲は異なります。サイト制作のディレクターが、給与や職務、面接、入社後の教育まで調整する契約になっているとは限りません。

    各社が担当する仕事の品質を高めても、担当範囲の間にある食い違いは残ることがあります。全体を見て、誰が何を直すかを決める役割まで確認する必要があります。

    整合を取るための体制にも、整合が必要

    分業を進めると、関係者への説明、情報共有、成果物の確認が必要になります。採用方針を変更すれば、原稿、デザイン、掲載内容へ順に反映する作業も生じます。

    例えば、募集対象を経験者から未経験者に変える場合を考えてみましょう。募集要件を変え、教育について説明する原稿を用意し、サイトの構成を見直します。担当が分かれていれば、それぞれに変更の背景を伝え、修正内容を確認する必要があります。

    こうした調整も実際の仕事です。制作担当者の実務に加え、管理・調整を担う人の時間と人件費がかかります。依頼する企業側にも、打ち合わせや確認の時間が必要です。

    調整を専門家が担うことで、社内の負担が軽くなる場合もあります。確かめたいのは、外部に支払う費用と、社内に残る作業の両方です。

    少人数を採用したい中小企業で、多くの関係者への説明や調整が膨らみ、改善に使える予算や時間を圧迫しているなら、支援体制を見直す余地があります。

    整合を取るための体制にも、整合が必要です。 採用したい人数、改善する範囲、使える予算、社内で動ける人に見合った体制を選びましょう。

    見積もりを比べるときは、金額とともに、企画・調整・制作のどこまで含まれるのか、社内で何を用意し、誰が確認するのかを確かめると、実際の負担を判断しやすくなります。

    一貫対応の支援先を選ぶと、何が変わるか

    採用計画の相談から求人票・採用サイトの制作、運用までを一貫して扱う支援先には、判断の背景を実務へつなぎやすい利点があります。

    なぜこの職種を募集するのか。どのような人に来てほしいのか。現場で教えられることは何か。相談時に確かめた事情を、そのまま制作や改善に反映しやすくなります。

    具体的には、次のような利点が期待できます。

    一貫して扱う内容期待できる利点
    採用計画・ターゲットと求人票・サイト採用方針を各媒体の内容へ反映しやすい
    相談と実務担当交代に伴う引き継ぎや、同じ説明の繰り返しを減らしやすい
    各媒体と修正作業条件や方針の変更を、関連する媒体へ反映しやすい
    制作と運用・担当者育成公開後の更新方法まで整え、社内で整合を保ちやすい

    「一貫対応」と書かれている場合も、実際の担当範囲を確認しましょう。窓口を一つにまとめる体制もあれば、相談を受けた人が制作や運用まで担当する体制もあります。社内に残る作業や、引き継ぎの回数は変わります。

    支援先には、次の点を聞いてみてください。

    • 最初の相談内容を理解した人が、どこまで制作・運用を担当しますか。
    • 仕事や待遇、面接との食い違いが見つかったとき、誰と、どこまで改善を検討できますか。
    • 支援先の担当者間と、自社の社内との調整は、それぞれ誰が担いますか。
    • 条件を変更したとき、各媒体の情報を誰が更新しますか。
    • 支援終了後も、自社の担当者が内容を更新できるようになりますか。

    私は製造業の採用サイトを構築した際、管理権限と運営ノウハウを企業側へ引き継いだ経験があります。募集条件や現場の状況は変わるため、公開後に情報を更新できる体制も大切です。

    整合は、一度そろえれば終わりというものではありません。仕事内容や採用方針が変わるたびに、関連する説明や運用を見直します。その判断と作業を続けられるところまで考えて、支援先を選びたいものです。

    並べて食い違いを見つける

    採用の改善に取り組む際は、仕事、待遇、求人票、採用サイト、面接、入社後の受け入れまでを並べてみてください。

    社風と日々の言動が合っているか。仕事内容と給与が釣り合っているか。求人票とサイトの説明を、面接官や配属先の上司が共有しているか。食い違いが見つかれば、次に何を直すべきかを考えやすくなります。

    支援先についても、どの範囲を、誰が、どこまで担当するかを確認しましょう。採用活動の整合と、それを支える体制の整合を合わせて考えることが、限られた時間と予算を活かすうえで重要です。

    砂川大輔事務所では、代表が採用計画の相談から、求人票・採用サイトの制作、情報発信、担当者育成まで一貫して対応しています。相談で確認した現場の事情や採用方針を、そのまま制作・運用に反映する体制です。

    採用支援の内容を見る


    著者:砂川大輔
    砂川大輔事務所 代表。内閣府プロフェッショナル人材活用ガイドブック3度掲載。富士通・アマゾンジャパンの正社員として経営戦略やマーケティングに従事。経験を活かし200社超の中小企業の事業に伴走。建設業・製造業の引き合いが多く、採用計画から制作・情報発信・担当者育成まで支援する。1級土木施工管理技士補、甲種危険物取扱者、甲種火薬類取扱保安責任者、第一種衛生管理者、PRプランナー、内部監査士など、建設・製造業の採用に関する資格を保有。

    著者の経歴・専門性を見る

  • 採用サイトから応募が来ないときに 求人票でひいた興味を確信に変える

    採用サイトから応募が来ないときに 求人票でひいた興味を確信に変える

    採用サイトを公開しても応募が来ない。会社紹介や募集要項は載せているものの、何を直せばよいか分からない。そんなときは、求人票と採用サイトを見比べてください。

    求人票を読んで興味を持った人が、採用サイトでその根拠を確かめられるでしょうか。「段取りを学べる」と書いてあっても、誰から、いつ、何を教わるのかが分からなければ、応募を判断する材料が足りません。

    求人票でひいた興味を、採用サイトで確信に変える。 そのために、両者の採用ターゲット、伝える強み、仕事内容、募集条件をそろえ、採用サイトで具体的な説明と裏づけを増やします。

    本記事では、建設業・製造業の中小企業に向けて、既存の採用ページを見直す方法を紹介します。ここでいう「確信」とは、自分の経験や希望との適合を確かめ、納得して応募を判断できる状態です。

    1.求人票と採用サイトで、同じ「選ばれる理由」を伝える

    求人票で伝えるのは、「どんな仕事で、どんな人にとって魅力があるか」です。仕事内容や条件を示し、自分に関係する募集だと気づいてもらいます。

    採用サイトでは、その仕事や働き方を詳しく確かめられるようにします。求人票で教育に興味を持ってもらったなら教育の実態を、仕事の分担に関心を持ってもらったなら担当範囲と教育体制を示します。

    例えば、NC旋盤で部品の脱着と寸法測定を担当し、次は段取りを学びたい人を募集するとします。

    接点伝える内容の例
    求人票脱着・測定の経験を活かし、段取りを学べる仕事であること
    採用サイト指導担当、学ぶ手順、教育の時間、担当を広げる条件
    応募案内必要な技能・書類、選考の流れ、応募方法

    採用サイトに何を載せるかは、「求人票のどこに興味を持った人が、何を確かめたいか」から考えましょう。 沿革や事業紹介も、その人が会社と仕事を理解するための情報として位置づけます。

    検索や社員の紹介から直接サイトを訪れる人もいるため、職種や条件はサイト内でも分かるようにします。

    2.ターゲット・強み・条件を、求人票と採用サイトでそろえる

    興味を持って採用サイトを開いても、求人票と違うことが書かれていたら、応募はためらわれます。

    照合する項目確認すること食い違いの例
    採用ターゲット想定する経験・技能・希望がそろっているか求人票は加工経験者向けだが、サイトには新卒向けの説明しかない
    必要技能・担当業務入社時に必要なことと、入社後に学べることが一致しているか求人票では段取り未経験可、サイトでは段取り経験必須
    伝える強み求人票で興味をひいた点を、サイトでも説明しているか書類業務の分担を強調しているが、サイトに説明がない
    給与・勤務地・勤務・休日同じ職種・雇用形態の条件がそろっているか一方だけ古い給与や勤務時間が残っている
    教育・制度の対象誰が、どの条件で利用できるかが分かるか一部職種の制度が、全員対象のように見える
    選考・募集状況募集職種、必要書類、応募先が一致しているか求人票は募集中だが、サイトは募集終了のまま

    職種や雇用形態によって条件が違う場合は、その対象を明記します。会社全体の制度紹介と、今回募集する人に適用される条件が混ざらないようにしてください。

    同じ内容を指す言葉もそろえましょう。求人票の「段取りを学べる」が、サイトでは「多能工育成」とだけ書かれていると、求職者が同じ話だと気づかないことがあります。求人票で使った言葉を、採用ページの見出しや案内にも反映します。

    必要な労働条件の明示事項は、厚生労働省の公式資料とも照合してください。上の表は、求人票とサイトの整合を点検するためのもので、法定の明示事項をすべて列挙した一覧ではありません。

    3.求人票で生まれた疑問に、写真・仕事紹介・社員の経験で答える

    内容をそろえたら、次は裏づけを加えます。採用サイトでは、文章、写真、仕事の流れ、社員の経験を組み合わせ、求人票で伝えた働き方を具体的に示せます。

    求人票でひいた興味求職者が確かめたいこと採用サイトで示す裏づけ
    書類業務を分担しているどの作業を任せられ、自分に何が残るのか実際の分担表、1日の流れ、各担当者の説明
    未経験から教える最初に何を任され、誰に質問できるのか最初の作業の写真、指導担当、教育の順序
    段取りを学べるいつ、誰から、どこまで学べるのか教育の時間・手順、指導担当、担当を広げる条件

    写真に、仕事と役割が分かる説明を添える

    機械の写真を載せるなら、何をつくる設備で、募集する人がどの作業を担当するのかを説明します。教育の写真なら、何を教えている場面で、入社後のどの段階に当たるかを添えます。

    製造未経験者に向けては、製品の用途、最初に担当する作業、仕事の手順が分かる素材を選びます。施工管理経験者に向けては、工事の種類、現場の範囲、現場と事務所での分担が分かる情報を用意します。

    写真と説明を合わせて、「自分はここで何をするか」まで理解できる内容にしましょう。

    社員紹介では、求職者が比較に使う経験を聞く

    社員インタビューでは、例えば次の点を尋ねます。

    • 入社前は、どんな仕事をしていたか。
    • 何に関心を持ち、この会社へ応募したか。
    • 入社前に不安だったことは何か。
    • 仕事を覚えるとき、誰に何を教わったか。
    • 前職と比べて、何が変わったか。

    本人が経験した具体的な出来事を、本人に確認して掲載します。誰にでも同じ結果が起きるように表現せず、配属先や担当業務などの背景も添えます。

    立ち作業、繁忙期、出張など、応募判断に関わる負担と対応も伝えましょう。求職者が良い面と大変な面を理解したうえで、自分との適合を考えられる内容にします。

    4.興味を持った点を、採用ページですぐに確かめられるようにする

    裏づけとなる情報があっても、見つけるまでに何ページも探すようでは、読んでもらう機会を逃します。求人票で使った言葉を手がかりに、知りたい情報へ進める構成にしましょう。

    例えば「脱着・測定の経験を、次は段取りへ」という求人票なら、採用ページの冒頭にもその募集であることを示します。その近くから、入社後の教育や仕事内容を確認できるようにします。

    機械加工経験者向けのページなら、次のように整理できます。

    掲載する部分伝える内容
    冒頭職種、勤務地、必要技能、「脱着・測定から段取りへ」という募集の特徴
    募集内容への案内給与・勤務条件と応募先を確認できるリンク
    仕事内容製品、担当工程、使用設備、仕事の分担
    入社後の進め方最初の作業、指導担当、段取りを学ぶ手順、担当を広げる条件
    社員の経験入社前の不安、教わったこと、現在担当している仕事
    働き方・募集条件給与内訳、勤務、休日、勤務地、作業負担と対応など
    選考と応募必要書類、連絡の目安、選考の流れ、応募方法

    教育への関心が強い対象者なら、教育の説明を早い位置に置くなど、確かめたいことに合わせて順番を調整します。

    給与や応募先にも、冒頭や関係する箇所から進めるようにしてください。長い会社紹介を最後まで読まなければ条件が分からない構成は見直しましょう。

    募集が複数ある場合は、「施工管理」「現場作業」「製造」「機械加工」など、自分に関係する仕事を選べるようにします。職種ごとに担当業務や条件が違うなら、その区別が分かる見出しやページを設けます。

    既存の会社サイト内でも、これらの情報は整理できます。新しい採用専用サイトを作るかどうかは、職種数、情報量、更新のしやすさを踏まえて決めましょう。

    5.求人を見つけてから応募を終えるまで、自分で確かめる

    納得して応募しようとした人が、手続きで止まらないように整えます。スマートフォンを使い、実際の入口から応募までたどってみてください。

    1. 求人媒体や会社トップから、該当する募集内容へ進めるか。
    2. 職種、勤務地、応募条件を見つけられるか。
    3. 興味を持ったところから、応募先へ進めるか。
    4. 入力項目や必要書類が分かり、送信まで操作できるか。
    5. 受付が完了したことと、その後の連絡が分かるか。
    6. 社内の担当者に応募内容が届き、対応へ移れるか。

    自社フォームを試す際は、担当者に試験送信であることを共有し、受付メールの内容まで確認します。

    初回応募で必要な情報と、後の選考で確認できる情報も整理しましょう。在職中の人がスマートフォンで応募する場面を考え、書類の準備や入力にどの程度の手間がかかるかを確かめます。

    職場見学を案内するなら、受け入れられる対象、当日の流れ、受付担当を決めます。応募や問い合わせの方法は、社内で継続して対応できるものを選んでください。

    求人媒体で応募を受け付ける運用なら、採用サイトからの移動先を明示します。求人媒体に外部リンクを載せる場合は、その媒体の掲載ルールを確認しましょう。

    当事務所のこだわり|情報に触れた人が、次へ進めるようにする

    電子デバイスメーカーの支援では、ECサイトの立ち上げ、販売経路の整備、運用者育成に取り組みました。採用でも、求人票や紹介を入口として、仕事内容の確認から応募まで進める流れを考えます。実際に操作し、途中で投げ出される箇所を確かめます。

    6.条件が変わったら、求人票と採用サイトをそろえて更新する

    求人票と採用サイトは、公開後も整合を保つ必要があります。給与を変更したのにサイトには以前の金額が残っていたり、募集終了後も応募を受け付けていたりしないよう、更新する仕組みを決めます。

    職種ごとの最新の募集情報を一つにまとめ、どこに掲載しているかを一覧にしましょう。あわせて、次の担当を決めます。

    • 募集条件を確認・承認する人。
    • 仕事内容や教育の実態を確認する人。
    • 求人票と採用ページを更新する人。
    • 応募を受け取り、連絡する人と、不在時の代わり。
    • 募集の終了・再開を判断する人。

    条件変更時は、募集要項に加え、見出し、社員紹介、よくある質問にも古い情報が残っていないかを確認します。説明の根拠となる分担や教育体制が変わった場合も、原稿を見直してください。

    制作会社へ依頼する場合は、原稿・写真・管理権限・更新手順・計測の設定情報を、どのように引き継ぐかを確認します。社内で使える時間と技能に合わせ、更新作業を分担しましょう。

    分担の考え方は、採用担当者がいない中小企業の採用の進め方でも解説しています。

    当事務所のこだわり|公開後の運営まで、社内へ引き継ぐ

    製造業の採用サイトを構築した支援では、管理権限と運営ノウハウを依頼企業へ引き継ぎました。制作を頼むときは、公開後に誰が募集内容を更新するかも決めておきましょう。原稿や素材、更新手順をそろえ、次の募集でも使える状態を重視します。

    この支援経験は、システムブレーンの本人インタビューでも紹介されています。

    7.何が興味をひき、何が応募の判断を支えたかを確かめる

    改善後は、応募者の反応を確かめます。応募後の会話などで、次のように尋ねてみましょう。

    求人のどの点に関心を持たれましたか。応募前に当社のサイトをご覧になっていれば、判断の参考になった情報や、分かりにくかったことを教えてください。

    知りたいのは、求人票で生まれた興味が、採用サイトのどの情報によって深まったかです。繰り返し質問される点があれば、応募前に確かめられる情報として補います。

    応募経路と、判断に使った情報を分けて記録する

    求人媒体で募集を知り、採用サイトを見て、媒体へ戻って応募する人も考えられます。この場合、自社フォームには応募がなくても、採用サイトが判断を支えている可能性があります。

    「どこから応募したか」と「応募前に何を見たか」を分けて記録しましょう。聞き取りは可能な範囲で行い、初回応募の必須項目を増やす必要はありません。

    数字は、計測できている範囲を確認して使う

    確認する数字は、該当職種ページの閲覧、応募先への移動、入力開始、受付が確認できた応募件数などです。

    GA4にはフォームの入力開始や送信を計測する機能があります。利用する際は、設定と自社フォームでの動作を確認してください。詳しくはGoogleの拡張計測機能の案内を参照できます。

    計測された送信回数と、社内で受け付けた応募人数は区別します。受信記録と照らし、試験送信、重複、営業目的の連絡などを分けましょう。外部求人媒体や電話からの応募、職場見学の申込みも別に記録します。

    変更前後を比べる際は、職種、期間、媒体、広告条件をそろえて確認します。少数の応募や短期間の変化から、文章やページ構成だけの効果とは決めつけないようにしてください。

    当事務所のこだわり|数字と、応募者の言葉を合わせて見る

    IT企業では、企業への聞き取りとデータ分析を通じて、事業の課題を探ってきました。採用でも、求人票の何に関心を持ち、サイトのどの情報で応募を判断したかを確かめます。

    最初は、優先する1職種を選び、求人票の訴求を一つ確認します。その根拠を現場から集め、採用ページへ反映し、応募受付まで試してみましょう。変更内容と次の確認日を残せば、改善を続けやすくなります。

    閲覧自体が少ない場合は、募集情報への接点も増やす必要があります。面接や内定後に辞退が続く場合は、その段階の説明や条件も見直します。採用全体の点検は、採用のカスタマージャーニーと改善策を参考にしてください。

    よくある質問

    求人票と採用サイトには、同じ文章を載せればよいですか?

    採用ターゲット、仕事内容、条件、伝える強みをそろえ、採用サイトでは具体的な説明と裏づけを増やします。求人票で教育に興味を持ってもらうなら、サイトで指導担当、学ぶ手順、教育の時間を確かめられるようにしましょう。

    採用専用サイトを新しく作る必要がありますか?

    既存サイト内で、職種、仕事、条件、応募方法を分かりやすく整理できるかを先に確認します。職種数や情報量、更新のしやすさを踏まえて、ページの構成を選びましょう。

    アクセスが少なければ、先に広告を増やすべきですか?

    応募できる状態と、判断に必要な情報を確認しながら、採用したい人との接点づくりを進めます。求人媒体や会社トップから募集ページへ進めるかも確認してください。サイト全体の完成を待って発信を止める必要はありません。

    求人媒体から応募が来ていれば、採用サイトは不要ですか?

    採用サイトが応募前の確認に使われているかを確かめましょう。求人媒体を通じた応募であっても、サイトの仕事紹介や社員の経験が判断を支えている可能性があります。自社フォームの応募数と併せて評価します。

    写真や社員インタビューが足りない場合は、どうすればよいですか?

    最初に答える疑問を一つ選び、それに必要な作業写真と短い説明から整えます。例えば「入社後に何を教わるか」であれば、最初の作業、指導担当、教える順序を確認するところから始められます。

    制作を外注するときは、何を確認すればよいですか?

    求人票とターゲットを共有したうえで、現場への取材、説明の裏づけ、条件の確認、スマートフォンでの応募、公開後の更新と引き継ぎについて、具体的な提案があるかを確認しましょう。

    求人票と採用サイトをつなぎ、応募の判断を支える

    砂川大輔事務所では、建設業・製造業の中小企業に向けて、採用ターゲットの整理、求人票・採用サイトの制作改善、現場への取材、情報発信、担当者育成を支援しています。

    現在の求人票と採用ページを並べ、何で興味をひき、どの情報で確信を支えるかを整理します。情報の整合から応募までの流れ、公開後の更新まで、社内の体制に合わせて進めます。

    支援内容・料金プラン・サービス説明資料をご覧ください。受付再開の通知を希望される方は、再開通知フォームをご利用いただけます。


    著者:砂川大輔

    砂川大輔事務所 代表。内閣府プロフェッショナル人材活用ガイドブック3度掲載。富士通・アマゾンジャパンの正社員として経営戦略やマーケティングに従事。経験を活かし200社超の中小企業の事業に伴走。建設業・製造業の引き合いが多く、採用計画から制作・情報発信・担当者育成まで支援する。1級土木施工管理技士補、甲種危険物取扱者、甲種火薬類取扱保安責任者、第一種衛生管理者、PRプランナー、内部監査士など、建設・製造業の採用に関する資格を保有。

    著者の経歴・専門性を見る

  • AIで質の良い求人票をつくる 中小企業が「選ばれる理由」を明文化する方法

    AIで質の良い求人票をつくる 中小企業が「選ばれる理由」を明文化する方法

    AIを使えば、求人票の下書きを短時間で作れます。しかし、「製造スタッフの求人票を書いてください」と頼むだけでは、「未経験者歓迎」「丁寧に指導」「働きやすい職場」といった、ありふれた求人票になってしまいます。

    求職者はいくつもの求人を比べます。その中から自社を選んでもらえるでしょうか。

    中小企業の求人票は、「誰の、どの悩みに、何で応えるのか」を明文化してからAIに書かせましょう。 採用したい人の現在の仕事、転職で変えたいこと、自社は悩みに応えられる職場だと具体的に示すことで、AIが書き上げる求人票はぐっと良くなります。

    本記事では、建設業・製造業を例に、ターゲットの整理からAIへの入力、求人原稿の確認までを紹介します。「求人票」には、ハローワークの書式に加え、求人媒体や自社採用ページの募集原稿も含めています。

    1.中小企業の求人票は、「選ばれる理由」を尖らせる

    大手企業は、ネームバリューや給与・福利厚生が応募の理由になります。しかし、名前を知られていない中小企業は、まずは求人票を通じて興味をもってもらう必要があります。

    通勤圏とはいえ、他の中小企業の求人が無数に存在するはずです。似たような求人票で「働きやすい」「成長できる」と説明するだけでは違いが伝わりません。職場の特徴がわからなければ、給与や休日など、比べやすい項目で判断されることになります。自社でなくてはならない理由を具体的に示すのが大切です。

    ここでいう「尖らせる」とは、採用したい人の具体的な悩みに、自社なら応えられると明確に示すことです。

    例えば、現場から戻った後の書類作業に困っている施工管理経験者には、何を誰が分担するかを伝える。担当できる加工工程を広げたい人には、どの作業を、誰から、どのように学べるかを伝える。相手によって、訴求すべき情報は変わります。

    AIに文章を整えてもらう前に、誰の・どんな悩みを・なぜ自社が解決できるかを決めましょう。それが差別化につながります。

    2.採用ターゲットを、現在の仕事の悩みと転職で望む変化まで書く

    「施工管理経験者」「製造業に興味がある人」「意欲のある人」を採りたい。こうしたプロンプトでは不十分です。

    まず、自社で任せたい仕事と、入社時に必要な技能を確認します。そのうえで、採用したい人が今どのような仕事をし、何を変えたいと考えているかを整理します。

    明文化する項目書く内容
    現在の職場と仕事業界、扱う製品・工事、担当工程、仕事の分担
    今できること一人でできる作業、資格・技能、まだ経験していない作業
    困っている場面いつ、どの仕事で、何が負担や不満になっているか
    解消しにくい背景分業、教育機会、勤務体制などの事情
    転職で実現したいこと仕事の範囲、働く時間、勤務地、収入などの希望
    維持したい条件と不安失いたくない条件、新しい職場で心配していること
    自社が応えられること任せる仕事、分担、教育、勤務条件、実際の運用
    根拠と限界確認先、記録、約束できないこと、未確認事項

    「残業を減らしたい」を、仕事の場面まで掘り下げる

    「残業を減らしたい」という希望でも、現場間の移動に時間がかかる人と、現場終了後の書類作業に追われる人では、自社が伝えるべき情報が違います。

    書類作業が原因なら、どの書類を、いつ、誰が作成しているのか。自社ではその仕事をどう分担しているのか。ここまで整理すると、求人票で説明する内容が見えてきます。

    あわせて、転職しても維持したい条件を聞きましょう。残業を減らしたくても、収入が大きく下がれば転職をためらう人もいます。希望する変化と、失いたくないものを一緒に捉えることが必要です。

    まだ確認できていない悩みは「仮説」として扱います。同じ職種の全員に、同じ不満を当てはめないようにしましょう。

    当事務所のこだわり|任せる仕事と、教えられることをそろえる

    建設会社や製造会社で人材採用・育成に関する支援を経験してきました。求人原稿を考える際は、入社後に任せる仕事と、教育体制も確認します。必要な技能と、働きながら新たに覚えられる技能を分け、求職者が応募に値するかを判断できるまで昇華します。

    3.悩みと自社の強みを取材で確かめる

    ターゲットの悩みを考えるとき、手がかりになるのが最近入社した社員の声です。

    「前職で何に困っていたか」「なぜ当社へ応募したか」「入社後に何が変わったか」を聞いてみましょう。自社では当たり前だと思っていた分担や教え方が、その人にとっては入社の決め手だったかもしれません。

    社員の感想に加え、現場の体制と募集条件も確認します。

    確認する相手・記録聞くこと
    最近入社した社員前職の悩み、応募の決め手、入社前後の認識の違い
    現場責任者任せる仕事、分担、教えられる作業、教育の進め方
    面接・内定時の記録繰り返し受けた質問、判断の前に残っていた不安
    給与・勤務条件の担当者提示できる条件、手当の前提、勤務・休日の運用

    集めた情報は、「悩み → 解決できる根拠」の順につなぎます。

    例えば、「脱着と測定だけでなく、段取りも学びたい」という人に対して、「スキルアップできます」と書くには、実際に教えられる体制が必要です。指導担当は誰か、勤務時間内に学ぶ機会があるか、担当を広げる際に何を確認するかまで聞きましょう。

    「確認済みの事実」「ターゲットについての仮説」「未確認」を分けて記録すると、AIに渡すときも混同を防ぎやすくなります。

    建設・製造の職種別の考え方は、建設業の採用支援先の選び方と、製造業の採用支援先の選び方でも解説しています。

    当事務所のこだわり|選ばれる理由を相手の言葉から見つける

    EC会社では、レビューを分析し、商品の訴求内容を見直してきました。採用でも、「なぜ応募したか」「前職と比べて何が変わったか」という働く人の声を確かめます。AIに安易なプロンプトを投げる前に、声と実際の仕事・制度を整理します。

    4.明文化した情報を渡すと、求人原稿はどう変わるか

    機械加工経験者の募集を例に考えてみましょう。

    以下は、入力する情報と求人原稿の関係を示す例です。実際のAI出力を比較した実験や、当事務所の改善実績ではありません。また、仕事内容と教育についての部分原稿であり、募集条件をそろえた求人票の完成形ではありません。

    漠然とした依頼では、誰に向けた求人かが伝わりにくい

    例えば、AIに次のように依頼するとします。

    金属部品メーカーのNC旋盤オペレーターの求人票を作成してください。経験者歓迎、スキルアップできる職場として紹介してください。

    この依頼に含まれる情報だけでは、次のような一般的な説明にとどまる可能性があります。

    NC旋盤オペレーター募集。経験を活かしながらスキルアップできる職場です。先輩社員が丁寧にサポートします。

    どの作業ができる人を募集し、入社後に何を学べるのか。その判断に必要な情報がありません。

    ターゲットと、自社が応えられることを文章にする

    原稿を作る前に、次のような文章を用意します。

    採用ターゲットの仮説

    現在、金属部品の量産工場で、NC旋盤の部品脱着と寸法測定を担当している人。二つの作業は一人でできるが、工具交換や段取りは別担当のため、学ぶ機会が少ない。

    今の経験を活かし、加工の準備にも関われるようになりたい。ただし、段取り未経験で転職すると、最初からできることを求められるのではないかと不安がある。給与水準と通勤条件も確かめたい。

    この架空例で、自社の事実として設定すること

    入社時に必要なのは、部品の脱着と寸法測定を一人でできること。段取り経験は必須にしない。

    入社後は製品と作業手順を覚え、現場責任者が技能を確認する。勤務時間内に、指導担当と工具交換・段取りを学ぶ機会があり、習熟を確認してから担当範囲を広げる。

    ここに、給与、勤務時間、勤務地などの確認済み条件も加えます。確認できていない項目は「未確認」と記し、AIが埋めないようにします。

    その人が判断できる求人原稿へ落とし込む

    これらの情報を渡し、「担当工程を広げたい人が、応募できるかと教わり方を判断できる原稿にしてください」と依頼します。盛り込みたい内容は、次のようになります。

    脱着・測定の経験を、次は段取りへ。

    NC旋盤での部品の脱着と寸法測定を一人でできる方を募集します。段取りの経験は問いません。

    入社後は、当社の製品と作業手順を覚えることから始めます。技能を確認したうえで、勤務時間内に指導担当と工具交換・段取りを学び、習熟に応じて担当を広げます。今の経験を活かし、加工の準備にも関わっていきたい方をお待ちしています。

    「経験者」の範囲が分かり、段取り未経験でも応募できること、入社後にどう学ぶかも伝わります。相手の希望と不安に、自社の具体的な事実で答えた文章になっています。

    職種名欄には「NC旋盤オペレーター」など、仕事が分かる名称を使い、訴求文は本文冒頭などに置きます。給与や通勤条件への疑問には、募集条件欄で答えましょう。

    施工管理や製造未経験者にも応用できる

    同じ手順で、相手の悩みに合わせて説明を具体化できます。次の例も、同じ実態があることを確認して使う前提です。

    対象者の悩み求人原稿へ反映する部分例
    施工管理経験者:現場後の書類作業を一人で抱えたくない工事写真の撮影と確認は施工管理担当、所定様式への整理は事務担当が分担します。
    製造未経験者:作業を覚えられるか不安食品の包装工程で、印字確認から始めます。衛生・安全の基本を学び、指導担当と作業を確認しながら、担当する作業を増やします。

    分担を紹介するときも、それだけで「残業がなくなる」とは言えません。原稿に書く約束は、確認できた事実の範囲にそろえます。

    5.そのまま使える、AIへの依頼文

    整理した内容を、次のひな型に入力して使ってください。まず1職種から始めると、情報を集めやすくなります。

    以下の情報をもとに、求人原稿の下書きを作成してください。
    
    【採用したい人】
    ・現在の職場と担当業務:
    ・一人でできる作業、資格・技能:
    ・仕事で困っている具体的な場面:
    ・その悩みが解消しにくい背景:
    ・転職で実現したいこと:
    ・維持したい条件、新しい職場への不安:
    
    【当社が提供できる仕事・環境】
    ・任せたい仕事と担当範囲:
    ・入社時に必要な技能:
    ・入社後に教えられることと、その進め方:
    ・ターゲットの悩みに応えられる具体的な事実:
    ・その事実の確認先、根拠:
    ・約束できないこと:
    ・雇用形態、給与、勤務時間、休日、勤務地などの条件:
    
    【掲載先と応募方法】
    ・媒体名、入力欄、文字数:
    ・応募方法、必要書類、選考の流れ:
    
    各情報に「確認済み」「仮説」「未確認」を付けています。
    
    重要な不足情報や矛盾があれば、原稿を書く前に質問してください。
    回答後、確認済みの事実を使って作成してください。
    仮説は訴求を考える参考にとどめ、求職者全員に当てはまる事実として書かないでください。
    
    未確認のまま下書きを依頼した場合は、その箇所を[要確認]としてください。
    入力にない給与、制度、勤務条件、数値、実績は追加しないでください。
    
    対象者が「今の経験をどう活かせるか」「転職で何が変わるか」を判断できる順に説明してください。
    「働きやすい」「成長できる」などの抽象語は、担当業務・分担・教育の進め方などで具体化してください。
    一般的な美辞麗句を重ねず、その人に伝えたい内容を絞ってください。
    
    掲載先の入力欄に合わせて、次の内容を整理してください。
    1.職種名
    2.冒頭の2〜3文
    3.仕事内容と分担
    4.入社後の仕事・教育の進め方
    5.応募条件
    6.給与・働き方などの条件
    7.会社・職場の特徴と根拠
    8.応募・選考の案内
    
    最後に「対象者のどの悩みに、どの事実で応えたか」を表にしてください。
    公開前に確認する項目は、求人原稿と分けて示してください。

    手元の情報が少なければ、先にAIへ「考えられる悩みの仮説と、社員や現場責任者に確認する質問を挙げてください」と頼んでもよいでしょう。回答を取材の手がかりにし、確かめた内容を入力し直します。

    AIが挙げた魅力や制度が、自社にもあるとは限りません。会社が約束できる仕事と条件は、社内で確認して決めます。

    6.出力された原稿を、仕事の実態と募集条件に照らす

    AIが出力したら、次の分担で確認します。

    確認する人主に確認すること
    現場責任者担当業務、分担、教育の進め方が実態に合っているか
    条件を決める人給与・勤務・休日・契約などの記載が正しいか
    採用窓口採用したい人の疑問に答え、応募判断に必要な情報を示せているか

    募集条件は、給与額や休日数だけでなく、手当の支給条件、試用期間中の違いなども確認します。業務・就業場所の変更範囲、有期契約の更新基準なども明示事項に含まれます。固定残業代がある場合の記載も含め、厚生労働省の公式資料と照合してください。

    本記事のひな型は、訴求と原稿の構成を整理するためのものです。必要な明示事項をすべて列挙した一覧ではないため、掲載先の入力欄と併せて確認します。

    求人票と採用ページの説明もそろえましょう。教育の進め方を求人票で伝え、採用ページでは指導担当や作業の様子を紹介すると、求職者が働く姿を具体的に考える材料になります。

    掲載後の見直しに備え、原稿とともに、AIへ入力した文章、情報の確認先、変更日、掲載先を残します。分担に迷う場合は、採用担当者がいない中小企業の採用の進め方も参考にしてください。

    当事務所のこだわり|次の募集でも使える材料を残す

    EC企業で、マーケティング手法のマニュアル化や社内展開、新人への指導を経験しました。採用でも、原稿とともに、ターゲットを明文化した文章、情報の確認先、AIへの依頼文を残します。仕事や条件が変わっても、担当者が見直せる形を重視します。

    7.応募者の反応から、ターゲットの理解を深める

    求人票を書き換えた後は、応募数に加えて、誰に何が伝わったかを確認します。

    • 求人詳細の閲覧数と、応募開始・完了数。
    • 必須条件を満たす応募者数。
    • 応募の理由と、仕事内容の理解。
    • 面接で残っていた疑問、確認できた辞退理由。

    例えば、段取りを学べることに関心を持っても、教わる時間や担当者が分からなければ、不安が残るかもしれません。面接で繰り返し聞かれることは、求人票で先に答える情報として補います。

    比較する際は、職種、掲載期間、媒体、広告条件なども記録します。応募が少ない段階の変化を、文章だけの効果とは決めつけないようにしましょう。

    閲覧自体が少ない場合や、応募手続きで止まっている場合は、ほかの箇所も点検します。採用のカスタマージャーニーと改善策では、入社に近い段階から採用活動を見直す手順を説明しています。

    よくある質問

    ターゲットを絞ると、応募が減りませんか?

    関心を持つ人の範囲が変わる可能性はあります。自社が必要とする技能や仕事への適合を踏まえ、応募数と、必要な条件を満たす人との接点を併せて確認しましょう。伝えたい相手を具体化しても、不要な応募条件を増やす必要はありません。

    自社に特別な強みが見つからない場合は、どうすればよいですか?

    最近入社した社員に、前職と比べて何が変わったかを聞いてみてください。自社では普通の分担や教え方が、その人に価値を持つ場合があります。希望に応えられる実態がなければ、職場の改善や、採用ターゲットの見直しも検討します。

    ターゲットや悩みの分析もAIに任せられますか?

    仮説づくり、取材質問の整理、文章化は手伝わせられます。現場の事実や会社が約束できる条件は社内で確認し、仮説と区別して渡しましょう。

    給与や休日が大手に及ばなくても、求人票を改善する意味はありますか?

    仕事内容、分担、勤務地、教育など、相手が重視する情報を具体化する意味はあります。ただし、本人にとって必要な収入や勤務条件を満たせない場合は、表現の工夫だけでは解決しません。条件の改善と、伝える内容の充実を併せて考えましょう。

    採用したい人と、自社が選ばれる理由を一緒に整理する

    砂川大輔事務所では、建設業・製造業の中小企業に向けて、採用したい人の整理、現場への取材、求人票・採用ページの制作改善、担当者育成を支援しています。

    現在の求人票をもとに、誰のどの悩みに応えられるかを整理し、AIでも活用できる文章へまとめます。求人原稿と、その根拠になる情報を残すことで、次の募集にも取り組みやすくします。

    支援内容・料金プラン・サービス説明資料をご覧ください。受付再開の通知を希望される方は、再開通知フォームをご利用いただけます。


    著者:砂川大輔

    砂川大輔事務所 代表。内閣府プロフェッショナル人材活用ガイドブック3度掲載。富士通・アマゾンジャパンの正社員として経営戦略やマーケティングに従事。経験を活かし200社超の中小企業の事業に伴走。建設業・製造業の引き合いが多く、採用計画から制作・情報発信・担当者育成まで支援する。1級土木施工管理技士補、甲種危険物取扱者、甲種火薬類取扱保安責任者、第一種衛生管理者、PRプランナー、内部監査士など、建設・製造業の採用に関する資格を保有。

    著者の経歴・専門性を見る

  • 求人広告を増やす前に 採用のカスタマージャーニーと、入社に近い段階からの改善策

    求人広告を増やす前に 採用のカスタマージャーニーと、入社に近い段階からの改善策

    求人広告を出しているのに、採用につながらない。掲載を更新するべきか、採用サイトを直すべきか、判断できない。

    このようなときは、求職者が自社を知ってから入社するまでの道筋を確かめてみましょう。応募後の連絡が滞っていたり、内定後も仕事内容や給与への不安が残っていたりすると、新たに集めた応募者にも同じことが起こり得ます。

    採用の改善は、入社に近い段階から遡って考えるのが基本です。 入社まで進みやすい状態を整えることで、その後に使う広告費や情報発信の費用対効果が高まります。

    この記事では、建設業・製造業の中小企業に向けて、採用のカスタマージャーニーを5段階で整理し、各段階の指標と改善策を解説します。

    1.採用のカスタマージャーニーとは

    採用のカスタマージャーニーとは、求職者が会社や求人を知り、応募・選考を経て、入社するまでに辿る道筋です。行動に加えて、その時々の期待や不安、会社との接点も整理します。参考:Indeed「What Is the Candidate Journey?」

    本記事では、この道筋を次の5段階で考えます。

    知る → 調べる・比較する → 応募する → 面接で確かめる → 入社を決める・入社する

    それぞれの段階で確認する件数と、改善を見る指標を分けると、次のようになります。

    フェーズその段階で把握する件数改善を見る指標・反応
    知る求人表示数・クリック数接点の増減
    調べる・比較する求人詳細・採用ページの閲覧数、応募開始数閲覧から応募開始へ進む割合
    応募する応募開始数・応募完了数応募完了率
    面接で確かめる面接実施人数、面接後の継続希望・辞退人数選考継続の意向、残る不安、辞退理由
    入社を決める・入社する内定人数・承諾人数・入社人数内定承諾率、承諾後の入社率

    求職者は、面接後に採用ページを読み返したり、他社と比較し直したりすることもあります。5段階は、改善箇所を考えるための整理です。

    求人媒体内で応募が完結する場合もあるため、全員が自社サイトを通るとは限りません。自社が使っている経路ごとに、確認できる数字から見ていきましょう。

    2.改善は、入社に近いフェーズから始める

    求職者が進む順番に対して、会社が改善を点検する基本の順番は逆です。

    内定・入社 → 面接 → 応募手続き → 求人内容 → 認知

    例えば、内定を出しても辞退が続いているなら、その理由を確かめる必要があります。提示条件が分かりにくいのか、仕事への不安が残っているのか、希望する働き方と合っていないのか。理由によって、必要な対応は変わります。

    ここを整えれば、すでに接点を持てた人との採用機会を活かせます。面接や内定時に出た質問を求人票へ反映すれば、これから応募を検討する人にも、必要な情報を先に届けられます。

    費用との関係を、仮の数字で見てみましょう。

    説明用の仮定改善前改善後
    広告費30万円30万円
    同じ採用要件で内定を出した人数10人10人
    内定承諾人数6人8人
    入社人数2人5人
    入社1人あたりの広告費15万円6万円

    広告費と内定人数が同じでも、入社まで進む割合によって、入社1人を確保するための広告費は変わります。

    入社へ進む道筋を整えてから接点を増やすと、後々の費用対効果が良くなります。

    応募が全くない場合は、応募後の対応を準備しながら、認知を広げる活動も並行します。また、応募フォームが動かないなど、明らかな障害は速やかに直しましょう。

    当事務所のこだわり|限られた時間と予算の分配

    中小企業の支援では、課題の優先順位を整理し、限られた資源をどこに使うかを重視してきました。採用でも、採りたい職種と期限、採用担当者の稼働時間を確認します。入社に近いところから点検し、必要な工数と期待値を考慮し、着手することを決めます。

    3.内定・入社:「この会社に移ってよい」と判断できる材料をそろえる

    内定を出した後は、求職者が転職後の生活を具体的に判断できるようにします。確認する数字は、内定人数・承諾人数・入社人数です。

    • 内定承諾率=内定承諾人数 ÷ 内定人数 × 100
    • 承諾後の入社率=入社人数 ÷ 内定承諾人数 × 100

    まず、給与、勤務時間、休日、担当業務、勤務地を整理し、面接で説明した内容と提示条件が一致しているかを確認します。

    製造業なら、「日勤で働ける」と伝えるだけでは、夜勤手当がなくなる収入不安に答えられません。基本給、各種手当、賞与の前提を示し、本人が望む収入と生活時間に照らして説明する必要があります。変動する収入や将来の見込みは、確定した金額と分けて伝えましょう。

    建設業で「施工管理の負担を減らせる」と伝えるなら、担当現場数、施工エリア、書類作成の分担まで具体化します。繁忙期にどう変わるかも、判断に必要な情報です。

    条件を説明したら、次の準備を進めます。

    • 残っている質問に、現場責任者など適切な人が答える。
    • 退職の引き継ぎも踏まえ、入社日を相談する。
    • 初日の流れ、教育担当、連絡窓口を伝える。
    • 回答期限や連絡の頻度を、本人の事情も踏まえて調整する。

    条件が希望に合っていない場合には、提示内容の改善や採用ターゲットの見直しも必要です。説明を補えば解決する問題なのか、働く条件そのものの問題なのかを確かめましょう。

    4.面接:仕事内容を理解し、選考を続けたいと思えるかを確かめる

    採りたい人も、複数の就職先を比較しています。面接では、会社側が技能や経験を確認すると同時に、求職者も「この会社で働くと何が変わるか」を確かめています。

    ここでは、面接実施人数に加え、面接後の選考継続の意向と、その理由を確認します。

    現職の悩みを、仕事の場面まで掘り下げる

    「残業を減らしたい」と聞いたら、どの仕事が、いつ集中し、なぜ減らせないのかを尋ねます。現場の移動なのか、書類作成なのか、欠員の補充なのかによって、自社が応えられる内容は違います。

    あわせて、転職しても維持したい条件を聞きましょう。収入、通勤時間、身につけた技能を活かせる仕事など、本人が失いたくないものもあります。

    そのうえで、自社で任せる仕事、分担、教育の進め方を説明します。現場担当者との会話や職場見学も、働く姿を具体的に考える材料になります。

    面接後の意向と、残る疑問を確認する

    面接の終わりや、その後の連絡で、例えば次のように尋ねます。

    本日の説明を踏まえて、引き続き当社への入社を検討したいとお考えですか。判断するために、まだ確かめたいことはありますか。

    本記事では、この確認を数値で振り返るために、次の指標を提案します。

    面接後の選考継続希望率=継続希望人数 ÷ 継続・辞退の意思を確認できた人数 × 100

    保留や意向未確認は別に記録し、面接実施人数と確認できた人数も添えます。これは求職者の意向を捉えるための指標です。会社側の合否判断や、その後に実際に選考が続いたかとは分けて扱います。

    数字とともに、「給与の説明が分からなかった」「任される仕事をもう少し知りたい」といった反応を確認すると、補う情報が具体的になります。理由が分からないときは、推測で埋めず、未確認として残しましょう。

    当事務所のこだわり|数字の背景にある、求職者の言葉を確かめる

    IT企業では、企業への聞き取りとデータ分析を通じて、事業の課題を探ってきました。採用でも、応募や面接の数値に、応募者から受けた質問や確認できた辞退理由を重ねます。説明のどこが分かりにくく、何の不安が残ったかを、次の改善へつなげたいと考えています。

    5.応募手続き:応募したい気持ちを、手間と不安で止めない

    求人に関心を持っても、入力や書類の準備で止まってしまうことがあります。この段階では、応募開始数と応募完了数を確認します。

    応募完了率=応募完了数 ÷ 応募開始数 × 100

    Indeedでも、応募開始と応募完了は区別されています。「応募開始」がどの操作を指すかは、利用する媒体や計測方法に合わせて確認してください。参考:Indeed アナリティクスの「求人とキャンペーン」

    まず、自社の求人をスマートフォンで開き、応募から送信まで試してみましょう。

    • 入力しづらい項目や、分かりにくいエラーはないか。
    • 初回から求めている書類や情報は、すべて必要か。
    • 応募後の流れや、連絡方法・目安が分かるか。
    • 送信後に、受付が完了したことを確認できるか。

    在職中の人が応募することを考えると、連絡しやすい時間帯や希望する方法を確認することも大切です。

    応募後から面接までの連絡も整える

    応募を受け取った後は、返信の目安を決め、面接の日程候補、所要時間、場所、選考の流れを伝えます。

    この移行部分で使うのが、「面接実施人数 ÷ 面接に案内した人数」という参加率です。面接前の辞退や日程調整での行き違いを点検するために使います。

    面接に来てもらえたかと、面接を受けて選考を続けたいと思えたかは、分けて確認しましょう。それぞれ、改善する仕事が異なります。

    6.求人内容:現職の悩みと、自社で実現できる変化をつなぐ

    求人詳細や採用ページが読まれているのに応募が始まらない場合は、ターゲット、条件、選ぶ理由、説明の根拠を見直します。

    この段階では、閲覧数と応募開始数を確認します。求人媒体で「応募開始数 ÷ 求人詳細のクリック数」を見られる場合は、その変化も参考になります。

    採用したい人を、現在の仕事から具体化する

    採用ターゲットを考えるときは、必要な資格や経験に加えて、現在どのような会社で、何の仕事を担い、何に悩んでいる人なのかを文章にしてみましょう。

    その人が現職で解消できていない問題と、自社で変えられることを対応させます。次の表は、その考え方を示す例です。

    ターゲットの悩みの仮説求人票・採用ページで伝える情報
    施工管理で、現場終了後に書類作業が集中する書類作成の分担、担当範囲、実際の1日の流れ
    製造で、収入を確保しながら私生活の時間を増やしたい給与の内訳、勤務形態、残業・夜勤の実態
    加工で、担当できる技能を広げたい学べる作業、指導者、教育時間、担当変更や評価の条件

    同じ業種でも、会社や職種によって働き方は違います。社員の前職や入社理由、応募者からの質問を聞き、仮説を確かめることが大切です。

    差別化の根拠を、働く人にとっての変化で示す

    「働きやすい」「成長できる」という言葉だけでは、求職者は他社との違いを判断しにくくなります。仕事内容や職場の説明が似通っていれば、給与や休日など、比較しやすい条件に判断が寄りやすくなります。

    教育を強みにするなら、誰が、どの作業を、どの時間に教えるのか。負担の軽減を伝えるなら、どの業務を分担し、本人の仕事がどう変わるのか。自社の特徴を、求職者が転職によって得られる変化として説明しましょう。

    実態として希望に応えられない点があれば、職場の改善や別のターゲットとの適合を検討します。まだ実施していない施策は、現在の強みとして掲載しないようにします。

    職種別の考え方は、建設業の採用支援先の選び方と、製造業の採用支援先の選び方でも解説しています。

    当事務所のこだわり|伝える内容と、実際の働き方をそろえる

    EC企業では、商品レビューに書かれた不具合を確認し、部品の変更と保証情報の説明に取り組みました。採用でも、「教育が充実」「働きやすい」と伝えるなら、誰が何を教え、仕事をどう分担しているかを確かめます。説明を補う点と、職場の実態を改善する点を整理します。

    7.認知:入社までの道筋を整え、合う人との接点を増やす

    認知の段階では、求人表示数やクリック数を見て、接点の量を把握します。クリック率は、表示された情報から詳しい内容へ関心が向いたかを確認する補助指標です。

    まずは職種名、仕事内容、勤務地、勤務条件が、採用したい人に伝わる表記になっているかを確かめます。求人一覧やSNS投稿の冒頭にも、対象者が関心を持つ情報を置きましょう。

    掲載先は、ターゲットがどこで仕事の情報を集めるかに合わせて選びます。求人媒体、社員からの紹介、自社サイト、SNSなど、それぞれの接点から募集内容へ進めるようにします。広告と、開いた先のページで条件や説明が食い違っていないかも確認してください。

    広告を続けるか、求人内容を直すか

    ここまでの点検を踏まえると、判断は次のように整理できます。

    現在の状態優先して確認・改善すること
    面接後や内定後の辞退が続いている本人の希望と条件の適合、仕事内容の説明、残る不安
    求人は読まれるが応募が始まらないターゲット、条件、選ぶ理由、その裏づけ
    応募を始めても完了しない入力項目、書類、操作、応募後の案内
    入社まで進む例があり、対応にも余力があるが、接点が足りない掲載先、発信内容、広告予算

    広告を増やす場合も、予算上限と確認時期を決め、必要な人材との接点や選考結果まで追いましょう。クリックや応募が増えても、採用要件に合う人へ届いているかは別に確認する必要があります。

    求人の点検項目は、求人を出しても応募が来ないときの見直し方も参考にしてください。

    8.まず1職種で、入社側から点検する

    すべての募集を一度に直そうとすると、作業が広がり、変化もつかみにくくなります。まずは優先する職種を一つ決め、次の順に進めましょう。

    1. 採用したい職種と、必要な技能・条件を整理する。
    2. 求人、広告費、応募・面接・内定・承諾・入社の記録を集める。
    3. 入社に近い順に、止まっている箇所と残る不安を確認する。
    4. 改善内容、担当者、作業時間・費用、確認日を決める。
    5. 変更後の件数と割合、求職者の反応を振り返る。

    数字は、同じ職種・経路・応募時期の人を追って確認します。今月応募した人と今月入社した人は、同じ集団とは限りません。不採用、辞退、選考中、入社待ちも分けて記録してください。

    件数が少ないときは「承諾率50%」に加えて「内定2人のうち承諾1人」と示すと、状況を把握しやすくなります。表示・クリックなどの回数と、応募者の人数も区別しましょう。

    作業の分担に迷う場合は、採用担当者がいない中小企業の採用の進め方で、社内と外部の役割を整理できます。

    よくある質問

    応募がゼロでも、入社に近いところから直すのですか?

    返信、面接での説明、条件提示の準備を点検しながら、認知・応募の接点づくりを並行します。応募がない段階では選考後の数字を取れないため、想定する求職者の疑問に答えられるか、現時点で確認できることから整えましょう。

    通過率は何%を目指せばよいですか?

    地域、職種、雇用形態ごとの相場と比較します。著しく劣っていれば、自社に原因があると推測できます。

    内定辞退が多ければ、給与を上げるべきですか?

    まず、確認できる辞退理由と提示条件を照らします。給与の改善が必要な場合も、仕事内容や教育への不安が残っている場合もあります。原因を一律に決めず、条件の改善と説明の充実のどちらが必要か、両方が必要かを検討しましょう。

    採用の計画・求人内容・情報発信を、一緒に整える

    砂川大輔事務所では、建設業・製造業の中小企業に向けて、採用計画、求人票・採用サイトの制作改善、情報発信、担当者育成を支援しています。

    現在の求人と、把握できる応募・選考の状況をもとに、誰に何を伝え、どこから改善するかを整理します。数字がすべてそろっていなくても、分かる範囲から取り組めます。

    支援内容・料金プラン・サービス説明資料をご覧ください。受付再開の通知を希望される方は、再開通知フォームをご利用いただけます。


    著者:砂川大輔

    砂川大輔事務所 代表。内閣府プロフェッショナル人材活用ガイドブック3度掲載。富士通・アマゾンジャパンの正社員として経営戦略やマーケティングに従事。経験を活かし200社超の中小企業の事業に伴走。建設業・製造業の引き合いが多く、採用計画から制作・情報発信・担当者育成まで支援する。1級土木施工管理技士補、甲種危険物取扱者、甲種火薬類取扱保安責任者、第一種衛生管理者、PRプランナー、内部監査士など、建設・製造業の採用に関する資格を保有。

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  • 製造業の採用支援はどう選ぶ? 製造スタッフ・技術者の採用で確認したい6つのポイント

    製造業の採用支援はどう選ぶ? 製造スタッフ・技術者の採用で確認したい6つのポイント

    製造スタッフや技術者を採用したい。求人を出しても、求める経験を持つ人から応募が来ない。外部の支援を検討しているものの、自社に合う依頼先が分からない。

    製造業の中途採用を支援してもらう際は、採りたい人が今の職場で抱えている不満を理解し、自社へ移ることで何が改善するかを説明できる支援先を選びましょう。

    担当する仕事が増えても、評価が変わらない。自由な時間を増やしたいが、残業や夜勤の手当が減ると生活が苦しい。新しい技能を覚えたいのに、同じ作業を任され続けている。こうした悩みを抱える人に、設備や技術の紹介だけでは、転職する理由が十分に伝わりません。

    必要なのは、自社の仕事と、求職者の現在の職場の両方への理解です。この記事では、製造スタッフ・加工技能者・技術者の中途採用を考える中小企業に向けて、支援先を見極める6つのポイントを紹介します。

    1.採用ターゲットと、現職で蓄積した不満を明文化できるか

    「製造業の経験者を採りたい」という条件だけでは、求人で何を伝えるべきかが決まりません。同じ業界で働いていても、担当する工程、身につけた技能、勤務形態、転職で実現したいことは異なります。

    支援先には、自社で必要な役割を整理したうえで、採用ターゲットを文章にしてもらいましょう。

    例えば、「機械の操作経験があり、今の職場では材料の着脱を主に担当している人。段取りまで覚えたいが、教わる機会がなく、仕事の幅を広げられる会社を探している」と具体化します。これは説明用の例ですが、ここまで整理すると、仕事内容や教育について伝えるべき情報が見えてきます。

    現職の不満を考える際は、次の3つを手がかりにできます。

    • 負担と報酬・評価の関係。 担当台数や後輩指導が増えても、給与や評価への反映が見えない。
    • 収入と私生活の時間の両立。 残業や夜勤を減らしたいが、手当が減ると収入が足りない。
    • 技能や役割を広げる機会。 限られた作業が続き、段取りや工程改善などに関わる機会がない。

    もちろん、すべての求職者が同じ不満を持っているわけではありません。技能を高めたい人もいれば、習熟した仕事を無理なく続けたい人もいます。「変えたいこと」と「維持したいこと」を分けて考えることが大切です。

    支援先に聞きたいこと

    今回採りたい人は、今どんな仕事をしていて、どの場面に不満を感じていますか。転職で変えたいことと、維持したい条件を文章にできますか。

    2.その不満が、現在の会社で解消されにくい理由を理解できるか

    求職者の不満には、仕事の仕組みが関係している場合があります。支援先には、その背景まで掘り下げてもらいましょう。

    例えば、部品製造の現場で原価低減を求められ、限られた人数で生産を維持している場合、担当する仕事が増えても、本人が納得する評価や賃金に結びついているとは限りません。教育に時間を割けず、教えられる人がいても、別の工程を学ぶ機会をつくれないことも考えられます。

    量産による原価低減が重視される工程なのか、多品種少量の加工なのか。取引先との関係や受注の変動が、人員配置にどう影響しているのか。生産の集約や工場再編があるなら、勤務地や担当がどう変わるのか。こうした事情は、求職者の転職理由を理解する手がかりになります。

    ただし、製造業の育成環境は企業によって異なります。厚生労働省の「2025年版ものづくり白書」でも、通常の仕事を離れて行う教育訓練の実施状況には、事業所規模による違いが示されています。採りたい人の職場では何が起きているかを、個別に確認する必要があります。[出典:厚生労働省「2025年版ものづくり白書」概要、PDF3ページ]

    仕事内容も、職種に応じて理解する必要があります。

    仕事の例現職について確認すること自社との適合を判断する材料
    製造スタッフ:組立・検査・梱包など担当作業、作業量、勤務形態、身体的な負担任せる作業、勤務・休憩、安全対策、教育体制
    加工技能者:機械加工など操作、段取り、プログラム、測定などの経験範囲必要な技能、使用設備、入社後に学べる工程
    技術者:生産技術・設計・品質など専門分野、通常業務と改善業務の配分、裁量任せる課題、他部門との分担、協力者、設備・予算

    経験年数だけでは、任せられる仕事は分かりません。必要な技能を「入社時に必要なもの」「入社後に教えられるもの」に分け、教える人と時間も確認します。

    また、求職者が現職で担当変更を希望したことがあるのか、なぜ実現しなかったのかまで聞くと、社外へ移ろうとする理由を理解しやすくなります。

    支援先に聞きたいこと

    その不満が続く背景として、仕事の分担、評価、教育体制のどこを調べますか。当社と候補者の現職の違いを、どう確かめますか。

    当事務所のこだわり|担当する仕事と、次へ進む条件を確認する

    私は、金属部品製造会社などで、人材採用・育成に関する支援を経験してきました。採用では、今できる仕事に加え、入社後にどこまで担当を広げられるかも確認したいところです。現場責任者と、最初に任せる作業、次に覚える技能、教える人と時間を整理すると、求職者へ伝える内容が具体的になります。

    3.不満を、求職者が「自分のことだ」と感じる言葉にできるか

    「給与に不満がある」「キャリアアップしたい」という整理から、もう一歩踏み込みます。本人がどのような場面でそう感じているのかを、言葉にするのです。

    例えば、次のように具体化できます。いずれも説明用の例です。

    抽象的な悩み求職者の立場で具体化した言葉
    給与・評価への不満担当する機械が増え、後輩も教えている。それでも、何をすれば評価が上がるのか分からない
    残業・夜勤を減らしたい家族と過ごす時間を増やしたい。でも、残業と夜勤を減らすと収入が足りなくなる
    技能を伸ばしたい材料の着脱を何年も担当している。段取りを覚えたいと伝えても、教わる時間が取れない
    専門性を活かしたい設備の復旧対応で一日が終わり、取り組みたい工程改善に時間を使えない

    こうした言葉が自分の状況と重なると、「この会社なら、今の悩みを理解してくれそうだ」と感じるきっかけになります。

    求人の冒頭も、例えば「担当する仕事が増えても、評価が変わらないと感じていませんか」と問いかけ、その後に自社の評価の仕組みや実際の役割を説明できます。不満への共感と、応募先として選ぶ理由をつなぐ構成です。

    言葉の材料は、中途入社した社員への取材から集められます。「前の職場で何を変えたかったか」「どんな場面で転職を考えたか」「入社後に何が変わったか」「期待と違ったことは何か」を聞いてみてください。

    支援先が立てた仮説を、社員の経験や応募者の質問と照らし合わせることで、実態に合う表現へ近づけられます。

    支援先に聞きたいこと

    「給与に不満」「成長したい」を、本人が経験している場面に置き換えると、どんな言葉になりますか。その仮説を誰への取材で確かめますか。

    当事務所のこだわり|前の職場で変えたかったことを聞く

    IT企業に所属していた頃、私はマーケティング業務で、企業への聞き取りとデータ分析を通じて課題を探ってきました。採用でも、中途入社した社員に、前の職場で何を変えたかったか、入社後に何が変わったかを聞くことが大切です。その具体的な違いを確かめると、同じ悩みを持つ人へ伝える材料が見えてきます。

    4.自社へ移ると何が改善するかを、根拠とともに示せるか

    求職者の不満を言語化したら、自社で改善できることを確かめます。ここが、採用で選ばれる理由をつくるうえで重要な部分です。

    「高い技術力」「最新設備」「少人数で裁量がある」といった特徴も、その人の仕事や生活にどう関わるかまで説明しましょう。

    求職者が変えたいこと自社で確認すること求人に示す根拠の例
    担当や責任に見合う評価を得たい技能・役割が評価や給与へどう反映されるか評価項目、役割ごとの条件、実際の運用例
    収入を維持し、私生活の時間を増やしたい給与の内訳と、勤務・通勤時間が希望に合うか基本給・手当、残業が少ない場合の収入条件、勤務実態
    段取りなどへ担当を広げたい任せる工程、指導者、教育時間があるか最初の作業、習得の順序、担当変更・評価の条件
    工程改善に専門性を活かしたい改善に使える時間や協力体制があるか業務配分、任せる課題、提案から実行までの流れ

    特に、給与と時間は一緒に確認する必要があります。残業や夜勤が減っても、手当がなくなり、生活に必要な収入を確保できなければ、その人の希望は満たせません。

    月給の表示額だけを比べず、基本給、各種手当、想定する残業時間、賞与の前提をそろえて説明します。「収入を維持して自由時間を増やせる」と言えるかは、募集条件と候補者の現状によって変わります。

    設備や教育も同様です。新しい設備があっても、採用した人が担当できるとは限りません。研修制度があっても、実際に教わる時間が取れなければ、求職者が期待する技能習得につながりません。

    自社で変えられることを、働く人の立場で具体化することが差別化につながります。 自社でも同じ不満が起きるのであれば、業務分担や教育体制を改善する必要があるか、現在の環境が別の候補層に合うかを検討しましょう。

    求人全体の見直し方は、「求人を出しても応募が来ない|建設業・製造業の中小企業が見直したい6つのポイント」でも解説しています。

    支援先に聞きたいこと

    この人の不満を、当社の何が解決できますか。給与、時間、担当業務、教育について、何を確認すれば裏づけられますか。

    5.転職理由と職種に合わせ、求人・採用ページ・募集経路を設計できるか

    ここまで整理した内容を、求人票や採用ページへ反映します。

    基本となるのは、「採りたい人の悩み」「自社で実現できる変化」「その根拠」「任せる仕事と必要技能」「給与・勤務等の条件」「応募方法」という流れです。掲載する媒体の形式に合わせながら、求職者が自分に合う仕事かを判断できるようにします。

    製造スタッフ向けには、担当作業、一日の流れ、勤務・休憩、身体的な負担と対策を説明します。製造業が未経験の人には、最初に教わることや、独り立ちまでの確認方法も必要です。

    加工技能者向けには、設備や材料、担当工程に加え、入社時に必要な技能と、入社後に教えられる技能を示します。生産技術・設計・品質などの技術者向けには、専門分野、任せる課題、日常業務との配分、他部門との関係を具体化します。

    顧客名や製品図面を公開できない場合でも、公開可能な工程、使用設備、仕事の流れ、社員の説明から伝えられることを探せます。

    募集経路も、採用ターゲットに合わせて選びます。通勤できる範囲で探す人なのか、専門性を活かせる職場を広く探す人なのか。どこで求人を見つけ、応募前に何を確認するのか。その理由を支援先へ聞きましょう。

    求人から職種別の詳細ページへ進み、応募できるかも確認します。公開後は応募数に加え、想定した経験や希望を持つ人から応募があるかを振り返ります。

    支援先に聞きたいこと

    この候補者の転職理由を踏まえ、求人の冒頭と詳細ページには何を載せますか。その人へ届く募集経路を選ぶ理由は何ですか。

    6.理解した内容を、成果物と運用手順にできるか

    支援先との打ち合わせでは、調べた内容が何に反映されるかまで確認しましょう。

    依頼内容に応じて、次のような成果物を具体化します。

    • 任せる工程と必要技能を整理した採用要件。
    • 現職、不満、転職で実現したいことをまとめたターゲット像。
    • 不満と、自社で改善できること・その根拠を対応させた訴求方針。
    • 職種別の求人原稿、採用ページ、募集経路の提案。
    • 公開後に確認する項目、更新手順、担当者へ引き継ぐ資料。

    提案の段階ですべての情報がそろう必要はありません。確認できていること、仮説、これから誰に何を聞くかが整理されているかを見ます。

    見積もりは、取材対象、制作点数、修正、公開後の作業、別途費用をそろえて比べます。経営者や現場が、取材・資料提供・内容確認にどの程度協力する必要があるかも聞いてください。

    支援実績については、業種名に加え、職種や担当した範囲、作成したもの、確認できる結果を見ます。自社とは異なる工程や仕事について、追加でどう調べるかも判断材料です。

    社内と外部の分担は、「採用担当者がいない中小企業へ|建設業・製造業の採用の進め方と外注できること」で詳しく紹介しています。

    当事務所のこだわり|次の募集に使える判断基準を残す

    アマゾンジャパンでは、マーケティング手法のマニュアル化や新人への指導を経験しました。採用でも、ターゲットの悩みをどう確かめ、勤務や担当工程が変わったら何を直すかを共有しておくと、次の募集へ活かせます。当事務所では、制作・発信の実務を一緒に進めながら、判断基準と手順を担当者へ伝えます。

    よくある質問

    製造スタッフと技術者を同時に採用したい場合、どう進めますか?

    必要な役割と採用時期を整理し、社内で取材や受け入れに使える時間も確認します。求人原稿や伝える情報は職種ごとに分け、優先する募集から進めましょう。

    異業種の経験者も採用ターゲットにできますか?

    任せる仕事に活かせる経験と、入社後に必要な教育を確認したうえで検討できます。その人が現在の仕事で何に悩み、どんな変化を求めているかも聞きます。製造業経験者の転職理由を、そのまま当てはめないことが大切です。

    大幅な賃上げが難しくても、経験者採用に取り組めますか?

    候補者が維持したい収入と、変えたい働き方・役割を確認し、自社と合う対象を具体化しましょう。残業を減らすことで手当が減る場合も含め、条件全体を示します。勤務や成長機会に魅力があっても、必要な収入を満たせるかは別途確認が必要です。

    製造業の採用計画から、求人・サイト・情報発信まで

    砂川大輔事務所は、建設業・製造業の中小企業に向けて、採用計画、求人票やサイトの制作・改善、情報発信、担当者育成を支援しています。

    「採りたい人の転職理由を整理できていない」「設備や技術の特徴を、働く魅力として説明できない」「原稿や情報発信を進める人手が足りない」。こうした課題に対し、事業と現場の情報を伺い、採用要件とターゲットを整理するところから、必要な制作・運用へつなげます。

    依頼を検討する際は、現在の求人票、任せたい工程、必要な技能、勤務・給与条件を手元に集めておくと、課題を話し合いやすくなります。中途入社した社員の入社理由も、分かる範囲で整理してみてください。

    支援内容と料金プランをご確認いただけます。サービス説明資料もご用意しています。受付再開のお知らせをご希望の方は、再開通知フォームをご利用ください。


    著者:砂川大輔
    砂川大輔事務所 代表。内閣府プロフェッショナル人材活用ガイドブック3度掲載。富士通・アマゾンジャパンの正社員として経営戦略やマーケティングに従事。経験を活かし200社超の中小企業の事業に伴走。建設業・製造業の引き合いが多く、採用計画から制作・情報発信・担当者育成まで支援する。1級土木施工管理技士補、甲種危険物取扱者、甲種火薬類取扱保安責任者、第一種衛生管理者、PRプランナー、内部監査士など、建設・製造業の採用に関する資格を保有。

    著者の経歴・専門性を見る

  • 建設業の採用支援はどう選ぶ? 職人・施工管理者の転職理由から考える選定基準

    建設業の採用支援はどう選ぶ? 職人・施工管理者の転職理由から考える選定基準

    建設業の採用支援先を選ぶ際は、「採りたい人が今どこで働き、何に悩み、自社へ移ると何が変わるのか」を具体的に考えられるかを確かめましょう。

    そのために必要なのが、採用する企業と、求職者が現在働く業界・会社の両方への理解です。職人や施工管理者の仕事内容を把握し、その人が転職先を選ぶ理由まで掘り下げる。この力が、求人票や採用サイトで伝える内容を左右します。

    建設業では担い手の確保が課題となっており、国土交通省・厚生労働省も、待遇や働き方の改善と生産性向上を合わせて進める必要性を示しています。[参考資料]

    採用活動も、求職者が複数の会社を比較していることを前提に考えたいところです。自社を選ぶ理由が伝わらなければ、給与や休日など、比較しやすい条件で判断されます。給与を上げ続ける余力が限られる中小企業にとって、誰にどんな価値を提供できるかを明らかにすることは、採用の大切な準備になります。

    この記事では、職人・施工管理者を採用したい建設会社に向けて、採用ターゲットへの理解を軸に、支援先の見極め方を説明します。

    1.採用ターゲットを、現在の仕事と悩みまで明文化する

    「施工管理の経験者がほしい」「資格を持つ職人を採りたい」。こうした希望を出発点に、どのような人へ働きかけるかを具体化します。

    最初に確認するのは、自社で任せる仕事です。工種、担当範囲、入社時に必要な技能・資格、入社後に教えられることを整理します。そのうえで、必要な役割を担える人が、現在どこで何をしているかを考えます。

    ターゲット像には、次の情報を書き込んでください。離職中の人を想定する場合は、前職の状況も手がかりになります。

    • 現在の業界・会社の特徴と、担当している仕事
    • 身につけている経験・技能・資格
    • 仕事や職場で困っていることと、その原因
    • 転職によって実現したい働き方や将来の役割
    • 維持したい給与・待遇と、転職への不安

    例えば、次のような人物像です。

    ターゲット像の仮説例
    現場管理と書類作成を担当する施工管理経験者。日中は現場の調整に追われ、帰社後に一人で書類をまとめるため、帰宅が遅くなっている。施工管理の仕事は続けたいが、事務作業を分担できる会社への転職を考えている。給与水準と、支援体制が実際に機能しているかを気にしている。

    ここまで書くと、自社が確認すべきことも見えてきます。事務担当は何を引き受けられるのか。現場担当者の残業はどの程度か。想定する経験に見合う条件を提示できるか、といった点です。

    この人物像は説明用の仮説です。社員への聞き取りや応募者とのやり取りを通じて確かめます。職人と施工管理者、経験者と未経験者では必要な説明が変わるため、それぞれのターゲット像を分けておきましょう。

    2.採用する会社と、求職者が今いる会社の両方を理解できるか

    採用支援先に求める業界理解には、二つの方向があります。

    理解する対象把握してほしい情報明らかにすること
    採用する企業の業界・会社工種、受注形態、現場エリア、業務分担、必要技能、育成体制、待遇どんな人が必要で、どんな働き方や成長機会を提供できるか
    求職者が現在いる業界・会社担当業務、勤務形態、負担が生じる事情、評価・育成、転職の不安何に悩み、次の会社に何を求め、何を基準に比較するか

    例えば施工管理者なら、工種や案件規模、元請・下請の立場、現場の掛け持ち、書類作成の分担などを確かめます。同じ職種名でも、任される範囲や周囲の支援によって日々の働き方は変わります。

    職人についても、担当する工程、班の組み方、教わる機会、技能を広げる道筋まで把握したいところです。業務の知識があれば、求職者の悩みが、仕事のどの場面から生じているかを考えやすくなります。

    異業種から未経験者を採る場合は、転職元の業界への理解も必要です。

    例えば、夜勤のある工場で働き、日中中心の仕事を希望する人を想定してみます。自社の現場に夜間工事はあるのか。早朝の集合や長距離移動はどれくらいあるのか。夜勤手当がなくなることで収入はどう変わるのか。勤務時間と給与を一緒に説明する必要があります。

    求職者が今いる会社の事情を知るほど、入社後の変化を具体的に伝えられます。支援先には、こうした違いを踏まえた質問ができるか、未確認の情報をどう調べるかを聞いてみてください。

    当事務所のこだわり|採りたい人が、今いる職場にも目を向ける
    建設会社や製造会社を含む、さまざまな業種の経営やマーケティングを支援してきました。採用では、転職前後で仕事や働き方がどう変わるかを考えることが大切です。採りたい人が現在いる業界・職場も書き出すと、経験を活かせる点と、入社前に説明すべき変化を整理しやすくなります。

    3.求職者の悩みを、場面・原因・影響まで掘り下げられるか

    「残業を減らしたい」「技術を身につけたい」「地元で働きたい」。こうした希望の背景には、人によって異なる事情があります。

    採用に活かすには、本人が困っている場面を詳しく捉える必要があります。先ほどの施工管理者の仮説なら、次の順序で確かめます。

    1. 場面: 現場から戻った後、どの書類を、どれくらい作成しているか。
    2. 原因: 何が本人にしかできず、どの作業なら分担できるか。分担が進まない事情は何か。
    3. 影響: 帰宅時間や休息、家族との生活にどう影響しているか。
    4. 希望: 次の職場で何を変えたいか。続けたい仕事や維持したい条件は何か。

    原因まで分かれば、求人に載せる情報の優先順位が変わります。書類業務の負担が転職のきっかけなら、担当範囲や事務支援の説明が重要です。長期出張が理由なら、現場エリアと宿泊を伴う出張の実態を詳しく伝えます。

    情報を集める際は、自社へ入社した社員の話が手がかりになります。「入社を決めた理由」に加え、「前の職場で困っていたこと」「他社と比較した点」「入社前に不安だったこと」を聞いてみましょう。応募者の質問や、確認できた辞退理由も材料になります。

    公開されている求人や企業情報も調べ、聞き取った話と照らし合わせます。ただし、一人の経験を業界全体へ広げたり、特定企業の内情を推測したりすることは避けます。確認できた事実と、これから確かめる仮説を分けておくことが大切です。

    当事務所のこだわり|本人の言葉から、選ぶ理由を掘り下げる
    EC企業では、顧客レビューを分析し、商品の訴求内容を見直してきました。採用でも、本人が何を気にし、何に価値を感じるかを確かめる視点が役立ちます。社員には「入社を決めた理由」に加え、「入社後に何が変わったか」まで聞いてみてください。働く人の実感から、自社を選ぶ理由を説明する材料が見つかります。

    4.自社が解決できる悩みを、根拠とともに伝えられるか

    ターゲットの悩みが分かったら、自社が提供できる環境と結びつけます。「誰の、どの悩みを、自社ならどう解決できるか」を整理する段階です。

    次の表は、対応関係を考えるための仮説例です。実際の募集では、自社の状況を確かめて内容を決めてください。

    求職者の状況・悩み自社で確かめること求人・採用ページで示す根拠
    現場対応の後に書類を一人で作成し、帰宅が遅くなる事務担当との分担が、実際に負担を減らしているか担当範囲、書類作成の流れ、実際の勤務時間
    長期出張が多く、生活の予定を立てにくい現場エリアや出張頻度が希望に合うか最近の施工エリア、宿泊出張の実績、例外となる案件
    担当作業が固定され、技能を広げる機会が少ない新しい工程を学ぶ機会と指導体制があるか担当できる工事、指導役、習得の順序、任せる役割

    「働きやすい会社です」という説明に、誰が何を分担するかを添える。「成長できます」という説明に、どの工事を経験し、誰から何を学べるかを添える。こうした具体性が、転職後を想像する助けになります。

    社内では当たり前の仕組みが、別の職場で悩む人にとって価値を持つこともあります。差別化を考える際は、自社の特徴を、採りたい人の現在の環境と比べてみてください。

    もちろん、給与や休日も重要です。職場の雰囲気ややりがいと合わせて、生活を維持できる条件を確認する必要があります。転職によって減る手当や、新たに覚える仕事も説明しましょう。

    自社にその悩みを解決する体制がなければ、改善できることと必要な時間を検討します。現在の強みを評価する別の候補層を考えることもできます。実施予定の取り組みは予定として示し、今すでに提供できる環境と区別してください。

    差別化を含む求人全体の点検項目は、「求人を出しても応募が来ない|建設業・製造業の中小企業が見直したい6つのポイント」でも紹介しています。

    5.支援先との面談では、質問と成果物を確かめる

    採用支援先との相談では、次の質問を使ってみてください。

    支援先へ聞く質問確認したい説明・成果物
    当社が採用を狙う人は、今どのような業界・会社で、何をしている人ですか。その人を想定する理由は何ですか。必要な技能と、自社の受け入れ体制に合うターゲット像
    その人は、何に悩んで転職を考えますか。今の職場で解決しにくい事情は何ですか。具体的な場面・原因・影響を整理した悩みの仮説
    その悩みを当社でどう解決でき、何を根拠に伝えられますか。悩みと自社の仕組み・実績を対応させた整理表
    当社へ移る際、求職者はどんな変化を心配しますか。給与・手当・担当業務などの不安に答える情報
    誰に取材し、何を調べ、求人原稿や募集経路へどう反映しますか。調査・取材の計画、原稿案、媒体を選ぶ理由

    初回相談では、自社の情報が十分に共有されていない場合もあります。その段階では、追加で何を確認し、どのように答えを作るかを見ます。質問が自社の工種や採用対象に即しているかも、理解を確かめる材料です。

    支援実績を聞くときは、業種・職種に加え、実際に担当した仕事と制作物を確認しましょう。類似案件の経験を、自社の規模・地域・体制へどう活かすかまで説明してもらうと、提案を判断しやすくなります。

    見積もりでは、ターゲット整理、社員取材、調査、求人原稿・採用ページの制作、公開後の改善がどこまで含まれるかをそろえて比較します。社内で情報を提供する人、原稿を確認する人、広告費などの別途費用も明確にしておきます。

    募集経路は、ターゲットがどこで仕事を探し、何を確認するかを踏まえて選びます。公開後も、想定した経験や希望を持つ人に届いたか、面談でどのような質問があったかを確認し、ターゲット像と原稿を見直します。

    社内と外部の役割分担は、「採用担当者がいない中小企業へ|建設業・製造業の採用の進め方と外注できること」をご覧ください。

    当事務所のこだわり|整理したターゲット像を、原稿と発信までつなぐ
    当事務所では、相談から企画・制作・情報発信まで私が対応します。「誰に何を伝えるか」を整理し、求人票や採用ページへ反映します。依頼時には、現場の実態を確認する人と、最初に整える制作物を決めておくと、求職者の悩みに答える情報を集めやすくなります。

    6.砂川大輔事務所の採用支援

    砂川大輔事務所は、建設業・製造業の中小企業に向けて、採用計画から求人票・採用サイトの制作、情報発信、担当者の育成まで支援しています。

    建設会社の人材採用・育成や人材計画に関する支援経験を踏まえ、任せたい仕事と現場の体制を確認します。採用ターゲットを具体化し、経営者や社員への取材を通じて、自社を選ぶ理由を原稿にまとめていきます。

    例えば、「職人を募集しているが、どのような人へ何を伝えるかが曖昧」「施工管理者の負担を減らす工夫があるのに、求人票に反映できていない」といった課題が相談の出発点になります。担当者が今後も更新・改善を続けられるよう、実務を通じて手順や判断基準を共有します。

    現在の求人票と、採りたい人に任せる仕事を整理しておくと、検討を進めやすくなります。直近に入社した社員の入社理由も、分かる範囲で集めてみてください。

    支援の内容や費用は、支援内容・料金プラン・サービス説明資料でご確認いただけます。

    現在は満枠で対応しています。支援の受付再開をご希望の方は、「再開したら通知を受け取る」からご登録ください。

    よくあるご質問

    建設業専門の支援先なら、採用ターゲットも理解してくれますか?

    自社の工種や仕事への知識に加え、採用したい人の現職と転職理由を、どこまで把握するかを確認しましょう。異業種から採用する場合は、その人が現在いる業界・職場を調べる方法も聞いてみてください。

    採用ターゲットは、一つの人物像に絞る必要がありますか?

    必要な役割と受け入れ体制に合えば、複数の候補層を考えられます。経験者・未経験者などで人物像を分け、それぞれの悩み、自社で提供できること、育成に必要な時間を整理して優先順位を決めます。

    自社がターゲットの悩みを解決できない場合は、どうしますか?

    業務分担や働き方など、改善できる点と時期を検討します。同時に、現在の自社の環境を評価する候補層も考えます。満たせない条件は明確にし、入社後に提供できる環境を正確に伝えることが大切です。


    著者:砂川大輔
    砂川大輔事務所 代表。内閣府プロフェッショナル人材活用ガイドブック3度掲載。富士通・アマゾンジャパンの正社員として経営戦略やマーケティングに従事。経験を活かし200社超の中小企業の事業に伴走。建設業・製造業の引き合いが多く、採用計画から制作・情報発信・担当者育成まで支援する。1級土木施工管理技士補、甲種危険物取扱者、甲種火薬類取扱保安責任者、第一種衛生管理者、PRプランナー、内部監査士など、建設・製造業の採用に関する資格を保有。

    著者の経歴・専門性を見る

  • 採用担当者がいない中小企業へ 建設業・製造業の採用の進め方と外注できること

    採用担当者がいない中小企業へ 建設業・製造業の採用の進め方と外注できること

    採用を進めたい。でも、社内に詳しい人がいない。社長も総務担当者も日々の業務に追われ、求人票やホームページの見直しまで手が回らない。こうした悩みを抱えていませんか。

    採用の計画づくりから、求人票・ホームページの整備まで依頼できる支援先はあります。 砂川大輔事務所も、建設業・製造業の中小企業を対象に、実務を支援しています。

    専任の採用担当者がいない会社でも、役割を決め、外部の力を組み合わせて採用を進められます。この記事では、社内の分担、外注できる業務、支援先の選び方を解説します。

    1. 社内では「決める人・現場を説明する人・窓口」を決める

    最初に、次の3つの役割を誰が担うか決めましょう。小規模な会社では、一人が複数の役割を兼ねる形でも構いません。

    役割主に担うこと建設業・製造業での具体例
    経営者・採用方針を決める人職種・人数・時期、募集条件、予算、採否を決める経験者の補充を優先するか、未経験者を育てて増員するかを判断する
    現場を説明する人実際の仕事、必要技能、育成体制、働き方を伝える工事の担当範囲、加工工程、使用設備、入社後に教える作業を説明する
    社内の窓口資料の取りまとめ、確認の依頼、応募連絡をつなぐ支援先からの質問を現場へ回し、原稿の確認者と期限を整理する

    総務担当者を窓口にする場合も、専門的な仕事内容は現場責任者、待遇や採用方針は経営者が確認します。確認する人と返答の期限を決めておくと、原稿作成や更新を進めやすくなります。

    まずは、この表の役割に社内の人の名前を入れてみてください。兼務する人が無理なく担えるよう、確認や打合せの時間も確保します。

    2. 最初に採りたい職種と「選ばれる理由」を整理する

    複数の職種で人手が足りない場合は、優先して採用したい1職種を選びます。そのうえで、経営者と現場で次の認識を合わせましょう。

    • 任せたい仕事と、必要な人数・時期
    • 入社時に必要な技能と、入社後に教えられること
    • 給与、休日、勤務時間、勤務地などの募集条件
    • 採りたい人が仕事選びで重視すること
    • その人にとって、自社を選ぶ理由になる特徴

    差別化の材料は、実際の仕事や働き方の中にあります。 経営者に加え、現場責任者や働いている社員にも話を聞き、同じ地域・職種の求人と照らし合わせて整理します。

    例えば建設業なら、直受け比率、移動方法、出張の有無、指導体制などです。近隣の現場が中心であれば、地元で生活を続けたい人の判断材料になります。製造業なら、担当工程や設備、身につく技能を具体的に伝えることで、技術を磨きたい人が入社後を想像しやすくなります。

    給与以外の特徴が見えなければ、求職者は給与などの分かりやすい条件を中心に比較することになります。自社の特徴を伝えると同時に、募集条件や働く環境に改善できる点がないかも確認してください。

    整理した内容は、A4用紙1枚程度の募集方針にまとめると、求人票やサイトを作る際に共有しやすくなります。

    差別化や応募が来ない原因の確認点は、「求人を出しても応募が来ない 建設業・製造業の中小企業が見直したい6つのポイント」で詳しく解説しています。

    3. 採用支援はどこまで外注できる?業務ごとの分担を整理する

    「採用支援」という名称でも、依頼できる仕事はサービスによって異なります。方針の助言、原稿作成、サイト制作、情報発信など、業務ごとに対応範囲を確認しましょう。

    以下は、当事務所の支援内容を踏まえた分担例です。

    業務外部へ依頼する実務の例社内で担うこと
    採用計画・人材要件現状の整理、必要な人材・優先順位の提案事業方針・人員体制の共有、募集条件の決定
    採用で伝える魅力取材、情報整理、伝える内容の提案現場・社員の取材協力、事実の確認
    求人票構成・原稿作成、改善仕事内容・待遇・条件の確認と承認
    ホームページ・採用サイト構成、原稿、制作・改修既存サイトの管理情報、写真・資料の共有、内容確認
    記事・資料・情報発信制作、合意した範囲での投稿・更新新しい取り組み等の情報共有、公開内容の確認
    振り返り・改善数字と内容の確認、改善提案、修正応募・採用状況の共有、次の方針の判断
    担当者育成操作・判断方法の共有、手順やひな型の整備担当者の参加、実務の練習、運用時間の確保

    応募者への連絡、日程調整、面接の実施まで依頼したい場合は、候補となるサービスに対応の有無を確認してください。これらの業務を誰が担うかも、募集を始める前に決めておきます。募集条件や採否は、企業側で判断します。

    外注後も、打合せ、取材への協力、原稿確認などの時間は必要です。依頼する仕事とあわせて、社内で発生する作業も具体的に確認しましょう。

    当事務所のこだわり|計画と制作を、ひとつの窓口で進める

    当事務所は、要員計画・採用戦略から求人票・サイト・記事の制作、発信まで対応します。取材で確認した仕事内容や採用方針を各媒体へ反映し、複数の依頼先に背景を説明する手間を抑えます。依頼を考える際は、「必要な成果物」と「社内で確認する人」を書き出してみてください。最初に任せる範囲を相談しやすくなります。

    4. 方針をそろえ、求人票・サイト・発信を進める

    採用の準備は、現在使っている求人票やサイトの確認から始めます。応募状況と社内の体制も踏まえ、次の流れで進めましょう。

    1. 現状を確認する。 求人票・サイト・応募状況を見て、不足している情報と優先課題を整理する。
    2. 方針をそろえる。 採用対象、募集条件、選ばれる理由、募集経路、役割分担を決める。
    3. 応募を検討できる情報を整える。 求人原稿や採用ページに必要な情報を載せ、応募先まで分かりやすく案内する。
    4. 発信と改善を続ける。 情報を更新し、応募状況や選考中に受けた質問をもとに、次に直す点を考える。

    求人票とサイトは、必要に応じて並行して整えます。既存の会社サイトに採用情報を追加する方法もあり、独立した採用サイトの新設やSNSの開設が、すべての会社に必要とは限りません。

    急いで採用したい場合は、現在の求人で修正できる部分から着手します。例えば、仕事内容の不足を補い、応募先を明確にしたうえで、社員への取材や採用ページの充実を進める形です。制作中も募集を続けられるよう、作業の順番を相談しましょう。

    5. 支援先は、業界理解・実務・社内負担を確認して選ぶ

    支援先を比較するときは、実際に誰が、どこまで担当するかを確認します。次の質問を、相談や見積もりの際に使ってみてください。

    比較する項目聞いておきたい質問
    建設・製造の業務理解工事や製造工程、必要技能をどのように把握しますか?
    計画と実務の範囲方針の提案後、原稿作成・制作・更新まで対応しますか?
    実際の担当者相談、取材、制作、運用はそれぞれ誰が担当しますか?
    社内に必要な協力打合せ・情報提供・原稿確認など、当社の作業は何ですか?
    費用と成果物契約に含まれる作業・制作点数・修正範囲・別途費用は何ですか?
    支援終了後の運用サイトや原稿、アカウント、手順はどう引き継げますか?

    業界への理解は、相談時の質問でも確かめられます。「製造スタッフ」という職種名から、担当する工程、扱う設備、求める技能まで具体的に話を進められるかを見てください。複数人が担当する場合は、情報の共有方法と連絡窓口も確認します。

    費用は、含まれる作業と社内に残る仕事をそろえて比べましょう。当事務所の費用と支援範囲は、料金プランでご案内しています。

    当事務所のこだわり|相談で伺った背景を、そのまま実務へ

    ご相談から企画・制作・運用まで、私、砂川大輔が担当します。工事や製造工程、必要技能、働き方を確認し、採用要件と原稿へ反映します。同じ担当者と、優先順位や修正内容を相談できる体制です。最初のご相談では、求人票や担当工程が分かる資料を1つ共有いただけると、必要な支援を具体的にお話しできます。

    6. 総務担当者が続けられる仕事を、少しずつ増やす

    将来、社内で採用活動を続けたい場合は、外部支援を受けながら担当者が経験を積む進め方を相談しましょう。採用業務が初めての総務担当者なら、次の仕事から取り組めます。

    • 募集情報の変更点を、経営者や現場に確認する。
    • 写真や社員の話など、発信用の材料を集める。
    • 応募件数と対応状況を記録する。
    • 確認済みの原稿や写真を更新する。
    • 支援先と状況を振り返り、次に直す箇所を考える。

    操作方法に加えて、「どの情報を更新するか」「誰の確認を受けるか」という判断の手順も共有します。担当者の時間と習熟度を見ながら任せる仕事を増やし、待遇の変更や重要な採用方針は経営者が判断します。

    採用方針、求人原稿、写真・取材素材、サイトの管理情報、更新手順、振り返りの記録を残すと、次の募集にも活用できます。制作物の権利、アカウントの管理権限、支援終了後の利用条件は、契約時に確認しておきましょう。

    当事務所のこだわり|制作物と、運営のしかたを引き継ぐ

    採用サイトを構築した製造業の支援では、管理権限と運営ノウハウを依頼企業へ引き継ぎました。当事務所でも、担当者と一緒に実務を進め、更新や判断の手順を共有します。引き継ぐものは依頼時に確認しておきましょう。原稿・素材・管理情報・手順がそろうと、次の採用でも活用しやすくなります。

    この経験は、システムブレーンのインタビューでも紹介されています。www.sbrain.co.jp

    7. 相談前は、手元にある情報を集めればよい

    外部への相談に向けて、まず次の情報を集めてみてください。

    1. 採りたい職種・人数・時期。 未確定なら、人手が足りず困っている業務。
    2. 現在の求人票とサイト。 会社サイトや採用ページのURLも共有する。
    3. 応募・採用の状況。 分かる範囲で、募集期間、応募件数、採用に至った人数など。
    4. 社内で連絡・確認を担える人。 経営者、現場、総務の分担状況。
    5. 希望する支援と予算の目安。 未定の項目は、そのまま伝える。

    相談時点で、採用計画書や求人原稿を完成させておく必要はありません。「何から始めればよいか」「社内では何を担えるか」を整理するところから相談できます。

    よくある質問

    採用の進め方が決まっていなくても相談できますか?

    はい。当事務所は、課題整理や計画づくりから支援しています。まず、困っている業務、必要な人材、現在の求人などを共有いただき、取り組む順番を一緒に整理します。

    外注しても、社内に担当者は必要ですか?

    連絡窓口と、募集条件の決定・現場情報の提供・原稿確認を担う人は必要です。兼務でも進められます。必要な時間は依頼する業務や社内体制によって異なるため、契約前に確認しましょう。

    求人票やホームページが既にある場合も依頼できますか?

    はい。当事務所は、既存の求人票やサイトの改善も支援しています。内容と管理環境を確認し、活用できる部分、不足する情報、改修が必要な箇所を整理します。

    社内の体制に合わせて、必要な実務からご相談ください

    砂川大輔事務所は、建設業・製造業の中小企業を対象に、採用計画、求人票・サイトの制作と改善、情報発信、担当者育成を支援しています。社内で担えることを確認し、必要な実務と進め方をご提案します。

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    現在は満枠のため、支援をご希望の方には受付再開時の通知をご案内しています。

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    著者:砂川大輔
    砂川大輔事務所 代表。内閣府プロフェッショナル人材活用ガイドブック3度掲載。富士通・アマゾンジャパンの正社員として経営戦略やマーケティングに従事。経験を活かし200社超の中小企業の事業に伴走。建設業・製造業の引き合いが多く、採用計画から制作・情報発信・担当者育成まで支援する。1級土木施工管理技士補、甲種危険物取扱者、甲種火薬類取扱保安責任者、第一種衛生管理者、PRプランナー、内部監査士など、建設・製造業の採用に関する資格を保有。

    著者の経歴・専門性を見る